スイングトレードとは、中長期的な目線で投資を行うトレード手法の一つです。
デイトレードなどと比較すると時間的な優位性があるため、副業として投資を始めたい方や、家事と並行して投資がしたい方におすすめです。
この記事では、スイングトレードが他のトレード手法と比較して儲かるのか、相場分析はどのように行うのかなどを解説します。
記事を読むことで、スイングトレードを実践した際に失敗しないコツや、メリット・デメリットについて把握することが可能です。
FXのスイングトレードとは?他の手法と比較
トレード手法 | 特徴 |
---|---|
スイングトレード | 時間に余裕を持ちながらトレードできる 短期的な値動きを気にしなくてもよい 利益確定まで時間がかかる |
デイトレード | 売買タイミングの見極めが難しい 初心者でも利益が出しやすい 頻繁にトレードするとトレードコストが高くなる |
スキャルピング | 一瞬で判断するため高い集中力が必要 数秒~数分で利益を獲得できる FX会社によっては禁止されている |
ポジショントレード | 短期トレードよりも1度の利益額が大きい マーケットの価格変動幅に利益が左右されることが多い スワップポイントを支払う可能性がある |
スイングトレードとは、1つのポジションを数日から数週間保有するトレード手法です。
テクニカル指標の使用やマーケットの分析をした上で、将来的な価格を予測しトレード方針を決定するのが特徴です。
スキャルピングトレードなどの短期トレードでなく、トレード1回あたりの利益額を大きくしたい方におすすめなトレード手法といえます。
スイングトレードに必要な資金
10万円以下の投資資金でも、スイングトレードで利益を出すことは可能です。
スイングトレードで利益を出すために必要な資金は、自分が目標としている収入から獲得pipsを逆算すれば求められます。
獲得pipsを逆算する計算式は以下の通りです。
まず、投資資金からトレードに必要な通貨量を計算します。(※)米ドル/円 = 130円、リスク管理を考慮しレバレッジは4倍とする
- 投資資金 × レバレッジ ÷ 通貨価値 = トレードに必要な通貨量
- 100,000(円) × 4(倍) ÷ 130(円) = 3,076(通貨)トレードに必要な通貨量
トレードに必要な通貨量が算出できたら、次は獲得pipsから利益を計算します。(※)便宜上、1pips = 0.1円、取引単位は1,000通貨単位で統一する
- トレードに必要な通貨量 × 獲得pips = 利益額
- 3,000(通貨) × 100(pips) = 3,000(円)
上記の計算式から、投資資金が10万円で5倍のレバレッジをかけてスイングトレードを行った場合、100pips獲得すれば3,000円の利益になります。
スイングトレードにおすすめの通貨ペア
スイングトレードにおすすめの通貨ペアには、以下の条件が当てはまります。
- 低スプレッドである
- 通貨ペアに関する情報量が多い
- ある程度値動きがある
上記の条件から、ポンド/円やユーロ/米ドルがおすすめの通貨ペアとなります。
ポンド円はボラティリティの高さから、短期トレードにおいては中上級者向けといわれることが多いです。
しかし、スイングトレードにおいては流動性の高さや情報量の多さから、通貨ペアの選択肢の一つに入ります。
ボラティリティが大きいため、週明けの窓開けには十分注意して、ストップロスの設定などは行いましょう。
続いてユーロ/米ドルは、世界一の通貨量を誇る通貨ペアです。
情報量の多さやスプレッドの狭さから、初心者でも扱いやすくスイングトレードにおいても利益を出しやすいといえます。
そのため、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析をあわせてトレードしたい方にとってはおすすめできる通貨ペアです。
相場分析のやり方
スイングトレードの相場分析には、テクニカル指標を使用したテクニカル分析と、経済情報を使用したファンダメンタルズ分析が存在します。
テクニカル分析で代表的なのは、トレンドトレーディングです。
トレンドトレーディングは、順張りの戦略と呼ばれており以下のテクニカル指標を主に使用します。
- 相対力指数
- 移動平均線
- 平均方向性指数
- 平均足
相場分析の特徴としてはシンプルで、移動平均線でトレンドの確認を行い、平均足でトレードタイミングを見極める分析方法です。
ファンダメンタルズ分析では、失業率や物価上昇、経済成長率などの経済の基礎的条件をもとに相場分析を行います。
スイングトレードやポジショントレードなどの中長期投資には、ファンダメンタルズ分析が適しているといわれています。
その理由として、デイトレードのように頻繁にトレードタイミングを図る必要性がないからです。
ただし、分析手法において長期・短期投資しかないと決めつけるのは、上手に利益を出していく上ではおすすめしません。
その時々の相場状況に応じた分析手法を用いるのが、正しい投資のあり方といえるでしょう。
エントリーポイントは時間足で決める
スイングトレードのエントリーポイントの見極めには、マルチタイムフレーム分析がおすすめです。
マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間軸でチャートを分析する手法を指します。
短期トレードや長期トレードに関係なく、損失を抱えるリスクを抑える効果が期待できるのが特徴です。
マルチタイムフレーム分析のルールは以下の通りです。
- 月足に代表される、長期足から短期足へとチャートをみていく
- 日足などの短期足よりも、長期足を重視する
- 長期足の動きから短期足を判断する
短期足だけを見て状況判断をしてしまうと、損失を抱えるリスクが高まってしまいます。
しかし、マルチタイムフレーム分析を分析手法に取り入れると、トレードの根拠が複雑になります。
根拠が複雑になることは一見マイナスに感じますが、無駄なトレードを減らせるため結果的にプラスに働くのです。
スイングトレードの利確タイミング
スイングトレードにおける利益確定のタイミングは、トレンドが切り替わる時が最も効果的です。
早すぎる利確は利益が小さくなり、遅すぎる利確は相場の流れが変わってしまい利益を取りこぼしてしまいます。
利益確定のタイミングは、ポジションを保有し始めるタイミングの何倍も難しいといわれています。
そのため、基本的にはトレンドの転換期を見計らって決済するようにしましょう。
損失に耐えられない人はトレール注文がおすすめ
利益確定のタイミングを図っている最中でも、価格変動は常に起こり続けるため、プラスポジションがマイナスポジションに変化することもあります。
投資資金の損失に耐えられない人には、トレール注文がおすすめです。
トレール注文とは、レートが上昇するとともに、逆指値注文の値も上昇していく注文方法を指します。
トレンドが発生した場合には利益を伸ばし、トレンドが反転したとしても損失を限定することが可能です。
FXトレードでは、経済指標発表による大きな価格変動や、フラッシュクラッシュなどマーケットの急変によって、保有ポジションが大きな含み損となることがあります。
含み損などで感情を左右されないためにも、トレール注文を取り入れてみるのもよいでしょう。
FXのスイングトレードで失敗しないコツ5選
FXのスイングトレードで失敗しないコツを5つ紹介します。
- 最小ポジションで売買を繰り返す
- 損切り注文を惜しまず使う
- 注文後に1週間以上放置しない
- トレンドを見つけて順張りする
- スイングトレードができるデモ口座で練習してみる
最小ポジションで売買を繰り返す
スイングトレードで失敗しないためには、最小ポジションで売買を繰り返すことが重要です。
最小ポジションを保ち続けると利益を逃すことなくトレードができると同時に、損切りの際にはリスクを最小限に抑えられるからです。
初心者に多く見られがちですが、ポジションを多く保有した状態でトレードするとマーケットの動向にメンタルが左右されてしまいます。
すると正しい判断ができなくなり含み損が大きい時に決済してしまうといった事態を引き起こしかねません。
強制ロスカットや、大事な投資資金を大幅に減らしてしまう前に、最小ポジションで売買を繰り返すことを重要視しましょう。
損切り注文を惜しまず使う
損切り注文を惜しまずに使うことが、スイングトレードで利益を生み出すポイントとなります。
金融先物取引業協会が実施した損失原因調査にもありますが、スイングトレードで利益が出せないのは損切りができないからです。
しかし、頭では理解していながらも、なかなか損切りできない初心者は多いのではないでしょうか。
そこで、損切り対策として逆指値注文の採用がおすすめです。
逆指値注文は、指定した価格以上になったらロングの成行注文を出し、価格以下になったらショートの成行注文を出すという注文方法を指します。
この特徴から、冷静なオーダー前に一定の条件をつけて発注できるため、損切り対策として適しているのです。
注文後に1週間以上放置しない
スイングトレードは中長期的なトレード手法であるため、スキャルピングトレードなど短期的なトレードと比較すると、チャートを見る頻度が落ちがちです。
確かに中長期的なスパンで利益を獲得していくのが主なトレード手法であるため、頻繁にチャートを見る必要はありません。
しかし、注文をしてポジションを持った後に1週間以上放置するのはおすすめできません。
その理由として、相場が暴騰・暴落した時に対応できないからです。
ポジションを持ったまま放置してしまうと、マーケットの急変動で大きな損失を抱える可能性があるというデメリットがあります。
そのため、逆指値注文やOCO注文を同時に注文しておくのがおすすめです。
逆指値注文は上記の通りで、OCO注文とは2種類のオーダーを同時に出し、優位性の高い方のオーダーを約定する注文を指します。
例えば、相場の方向性によりロングかショートを決めたい時にはOCO注文が有効です。
相場の急変で損失をかかえないためにも、注文後1週間以上放置するのはやめ、最低でも1日1回はチャートを見るクセをつけましょう。
トレンドを見つけて順張りする
トレンド方向に沿ってポジションを保有することを順張りと呼びます。
例えば、相場が上昇トレンドを形成している場合には、ロング(買い)ポジションを保有し、下降トレンドではショート(売り)ポジションを保有することです。
対して、上昇トレンド中でも価格が反発してくるポイントを狙ってトレンドと逆方向のポジションを保有することを逆張りと呼びます。
基本的には、大多数のトレーダーが予想している方向に沿っている順張りの方が利益を出しやすいです。
初心者は、まず順張りで利益を出していくトレードスタイルを確立させることを目標にしましょう。
しかし、トレンドの転換期や大規模な経済政策が発表される時は、あえて逆張りをすることで、最適なポジションを保有することも可能です。
よって、相場観が培われてきたりコンスタントに利益が出せるようになってきたら、逆張りトレードも検討しましょう。
スイングトレードができるデモ口座で練習してみる
大事な投資資金を無駄に減らさずスイングトレードの練習をするために、デモ口座で練習するのがおすすめです。
特にスイングトレードにおいては、中長期的トレードである特性も相まって一朝一夕ではトレードスキルが身につきません。
投資資金を無駄にするようなトレードをする前に、デモ口座でじっくり時間をかけて練習し終えてから実践に移りましょう。
FXのスイングトレードのメリット3選
FXのスイングトレードのメリットを3つ紹介します。
- 取引に時間が割けない人でも始めやすい
- 他の取引手法よりコストを抑えて取引できる
- 為替差益を狙いながらスワップポイントの利益も狙える
取引に時間が割けない人でも始めやすい
スイングトレードは取引に時間が割けない人でも始めやすいです。
スイングトレードは、中長期的トレードに分類されるため、常にチャートを見ていなくてもよい場合が多くあります。
短期トレードと比較するとオーダーする頻度が低いため、副業や家事をしながらという人に向いています。
本職がある方や家事が忙しい方の場合、短期トレードではチャートから目を離したすきにマーケットが急変することがしばしばあり、不利になります。
対して、頻繁にオーダーや決済を繰り返さなくてもよいスイングトレードでは、時間的に不利な状況が生まれにくいため、時間がない方でも始めやすいのです。
他の取引手法よりコストを抑えて取引できる
スイングトレードは、他の取引手法と比較した際にトレードコストを抑えることができます。
つまり、デイトレードやスキャルピングトレードよりも、利益効率が上昇しやすい手法であるといえるのです。
以下の条件でトレードを行った際の、トレード手法ごとのコスト比較を表で示しました。
- 通貨ペア = 米ドル/円
- スプレッド = 0.2銭
- トレード数量 = 10,000通貨
- トレード1回あたりのコスト = 20円(スプレッド×トレード数量)
比較表 | スイングトレード | デイトレード | スキャルピング |
---|---|---|---|
1週間のトレード回数 | 1回 | 10回 | 100回 |
トレードコスト | 20円 | 200円 | 2,000円 |
例えば、スキャルピングトレードでは数秒から数分間で、何度も売買を繰り返します。
売買を成立させるたびにトレードコストが発生するため、トレード1回あたりの利益が減少していくのが特徴です。
対して、売買頻度の低いスイングトレードは、トレード1回あたりの利益率がよく、利益効率が上昇しやすいです。
そのため、トレードコストをさほど意識しなくても、運用コストを抑えられる点がメリットです。
為替差益を狙いながらスワップポイントの利益も狙える
為替差益を狙いながら、スワップポイントでも利益が出しやすいです。
スワップポイントとは金利差調整分とも呼ばれ、2カ国間の金利差によって発生する利益のことを指します。
決済してポジションの解消をしない限り、毎日利益を獲得できるのが特徴です。
中長期なトレードを行うスイングトレードでは、上記にある特性からスワップポイントの利益獲得と相性がよいといえます。
ただし、スワップポイントがマイナスになった場合は、トレーダー側がFX会社に対して資金を支払う必要があります。
その場合、マイナスコストとして投資資金から差し引かれていくことには注意が必要です。
FXのスイングトレードのデメリット3選
FXのスイングトレードのデメリットを3つ紹介します。
- 取引機会が少なくエントリータイミングの見極めが難しい
- 他の取引手法と比べて損失の幅が大きくなりやすい
- 資金力が必要になる
取引機会が少なくエントリータイミングの見極めが難しい
スイングトレードは、エントリータイミングの見極めが難しい場合があります。
理由はトレード頻度が少ないからです。短期トレードであれば、1日に10回〜100回を超えるトレードを行うのが特徴です。
しかし中長期的なトレード手法であるスイングトレードは数日に1回、あるいは数週間エントリーができないこともあります。
エントリーポイントを見極めずにトレードすることは可能ですが、それだと利益が伸びないばかりか、含み損を抱えるリスクにもつながります。
他の取引手法と比べて損失の幅が大きくなりやすい
デイトレードやスキャルピングトレードと比較すると、損失の幅が大きくなりやすいです。
ポジションの保有期間が長く、相場の急変動に大きく影響を受けるからです。FXの損失の大きさは多くの人からやめとけと言われるほど大きな金額を失う恐れもあります。
スイングトレードは、短期トレードよりも1回のトレードで狙う値幅が大きく、利確の際に大きな利益を生み出すことができます。
しかし、ポジションの保有中は常に為替変動の影響を受け続け、自分の予想と反対に価格が動いた場合、その分大きな損失を抱えることになります。
そのため、経済指標発表や戦争などの情報には、常に気を付けておく必要があることを覚えておきましょう。
資金力が必要になる
スイングトレードは十分な投資資金を用意する必要があります。
数日間〜数週間ポジションの保有を続けるため、小さな損失でロスカットされるような資金力では、円滑なトレードができないためです。
例えば、年間で50万円利益を出したい時の、必要資金を求める計算式は以下の通りです。(※)年間の利益率が5%の場合
- 50万(円)÷5(%)×100=1,000万(円)
- 50万(円)÷ 25(%)×100=200万(円) (※)年間の利益率が25%の場合
上記の計算式から、目標とする利益率が低くなればなるほど、必要な投資資金が増えることを理解できます。
利益率とリスクは比例関係にあるため、目標の利益率とリスクオフをプランに組み込んだトレードを心がけましょう。
FXのスイングトレードについてよくある質問
スイングトレードに関するよくある質問をまとめました。
- FXのスイングトレードで逆張りするのは危険?
- FXのスイングトレードで勝てないときはどう改善したら良い?
- FXのスイングトレードに必勝法はある?
FXのスイングトレードで逆張りするのは危険?
結論から言うと、通貨バランスを保つために上昇が続くわけではないため、逆張りが危険というわけではありません。
トレンドの転換を見計らってエントリーすることは、FXトレードにおいて非常に重要だからです。
例えばテクニカル分析やファンダメンタルズ分析を駆使したとしても、マーケットの動向を100%把握することは不可能です。
そのため、逆張りが危険視されるのは、マーケットの不安定性が要因として考えられます。
ただし、根拠に基づき分析した結果エントリーポイントだと思ったのであれば、逆張りは危険ではありません。
FXのスイングトレードで勝てないときはどう改善したら良い?
スイングトレードで勝てない方が改善すべきポイントは以下の4つです。
- 短期間で利確を狙わない
- 投資資金を身の丈に合わせる
- シナリオ通りにトレードする
- トレンドを重要視する
スイングトレードは、短日で利益を出すトレード手法ではありません。
しかし、利益にばかり目が取られると利益が伸ばせる状況で利確をしたり、損切りをしないといけない状況でポジションを保有し続けるケースがしばしばみられます。
通貨ペアの選択には慎重であるにも関わらず、テクニカル分析を行う際には曖昧になってしまうことも多いです。
投資はギャンブルではなく、根拠に基づいたプランニングとプランに沿ったシナリオ通りにトレードを行うことが重要です。
FXのスイングトレードに必勝法はある?
投資において、必勝法というものは存在しません。
スイングトレードに限らず、シナリオを限りなく勝ちに近づけて利益を獲得するのがFXトレードです。
いかに負けずにトレードするかが重要で、いわゆる損小利大で利確・損切りを行えるかが重要です。