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海外FXの税金や確定申告は?控除や計算方法を解説

海外FXトレードを行う際、税金や確定申告の手続きは避けて通れない課題です。海外で発生した所得に対しても、日本の税制上、適切に申告し納税する必要があります。しかし、海外取引の特性上、通常の給与所得とは異なる扱いがあり、一般の方には分かりにくい部分が多くあります。

本記事では、海外FXトレーダーの皆さんに向けて、税金計算や確定申告の方法を丁寧に解説します。海外FX取引に関する所得の計上方法、控除の適用、実際の計算手順など、確定申告に必要な知識を網羅的に取り上げます。

また、国内と海外の二重課税を避けるための外国税額控除制度についても詳しく説明します。記事を読み進めることで、海外FXトレーダーの方々は、自身の取引に対する適切な税金計算と申告の仕方を理解できるようになります。

目次

海外FXの税金の特徴

海外FXの税金の特徴に関しては、主に以下の内容が挙げられます。

海外FXの税金の特徴
  • 利益は雑所得として総合課税の対象
  • 税率は5〜45%の累進課税
  • 損失の繰越控除はできない
  • 国内FXとの損益通算はできない

それぞれ詳しく解説していきます。

利益は雑所得として総合課税の対象

海外FXの利益は、雑所得として総合課税の対象となります。 具体的には、海外FXの利益が20万円を超えた場合、確定申告が必要になり、他の所得と合算されて最高50%の税率がかかる可能性があります。

一方、損失が出た場合は、雑所得の範囲内でしか損益通算ができません。つまり、他の種類の所得との損益通算はできず、また翌年度への繰越控除もできません。 ただし、2012年1月以降の海外FXの店頭取引と取引所取引(くりっく365)については、一定の要件の下で翌年以降3年間の繰越控除が認められるようになりました。

このように、海外FXの利益は通常の所得と同様に総合課税の対象となり、高い税率がかかる可能性があります。一方で損失については、他の所得との通算が制限されているため、注意が必要です。

税率は5〜45%の累進課税

海外FXの利益は、雑所得として総合課税の対象となります。雑所得には5~45%の累進税率が適用されます。

具体的には、年間の総所得金額に応じて以下の税率が適用されます。

累進税率の税率
  • 年間所得金額195万円以下: 5%
  • 年間所得金額195万円超~330万円以下: 10% 
  • 年間所得金額330万円超~695万円以下: 20%
  • 年間所得金額695万円超~900万円以下: 23%
  • 年間所得金額900万円超~1,800万円以下: 33%
  • 年間所得金額1,800万円超~4,000万円以下: 40%
  • 年間所得金額4,000万円超: 45%

つまり、海外FXの利益が大きいほど高い税率が適用されることになります。利益の全額に対して一律の税率が課されるわけではありません。所得金額の範囲に応じて累進的に税率が上がっていく仕組みです。

また、確定申告時に必要経費を控除できるため、実際に支払う税額は利益の一部分となります。海外FX取引に係る手数料や損失など、適切に経費を計上することが重要です。

損失の繰越控除はできない

海外FXの損失は、他の種類の所得と損益通算することができません。つまり、海外FXで発生した損失を、給与所得や事業所得などの他の所得から控除することはできません。 

また、海外FXの損失は、翌年以降に繰り越して控除することもできません。海外FXの損益は、その年の「雑所得等」の範囲内でのみ通算が可能です。損失が出た年に控除しきれない分は、翌年以降に繰り越すことができないのです。

したがって、海外FXで損失が出た場合、その年の「雑所得等」の金額から控除できる範囲に限られます。損失を有効活用するには、同じ年に「雑所得等」を計上する必要があります。損失の繰越控除ができないため、海外FXの損益は慎重に管理する必要があります。

国内FXとの損益通算はできない

海外FXの損益は、国内FXの損益と区別して取り扱われます。つまり、海外FXで発生した利益と損失は、国内FXの損益と相殺することができません。

海外FXの利益は、雑所得として確定申告の対象となり、国内の総合課税対象所得に合算されます。一方、海外FXの損失は、雑所得の金額の範囲内でのみ控除が認められます。 したがって、海外FXで大きな損失が出た場合でも、国内FXの利益から控除することはできません。

このように、海外FXと国内FXの損益は分離して扱われるため、全体の損益を適切に管理する必要があります。海外FXの利益と損失を正確に計算し、確定申告で適切に申告することが重要です。

海外FXの税率と計算方法

海外FXの税率は、取引形態によって異なります。利益の計算方法は、取引による売買損益から手数料などの経費を差し引いた金額が課税対象となります。

為替レートの変動により、外貨建て利益を円換算する際の為替差損益も考慮する必要があります。損失が出た場合は、一定の要件の下で翌年以降3年間の繰越控除が認められています。

海外FXの税金の計算例

海外FXの取引で発生した利益には、原則として20.315%の税率(所得税15%、住民税5.315%)が課税されます。 確定申告の際、海外FXの利益は「雑所得」として申告する必要があります。

利益の計算方法は以下の通りです。

利益の計算方法

1. 海外FXの取引で発生した利益の合計額を計算します。

2. 取引に係る経費(手数料など)があれば、その金額を差し引きます。

3. 差し引いた金額が「雑所得」となり、その金額に対して20.315%の税率が適用されます。

例えば、海外FXの取引で100万円の利益があり、手数料が2万円かかった場合以下のような計算になります。

  • 利益額: 100万円
  • 経費: 2万円
  • 雑所得金額: 100万円 – 2万円 = 98万円
  • 納税額: 98万円 x 20.315% = 約19万9千円

なお、海外FXの損失が発生した場合は、その損失額を翌年以降3年間繰り越して、海外FXの利益から控除することができます。 適切な確定申告を行うことで、海外FXの取引に係る税金を正しく計算し、納税する必要があります。

国内FXの税率と計算方法

国内のFX取引(為替証拠金取引)における税金の計算方法は、以下のようになります。

  • 国内FXの利益が20万円を超える場合、「先物取引に係る雑所得等」として区分され、所得税15%と住民税5%の合計20%の税率が一律適用されます。
  • 損失が出た場合、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額と損益通算が可能です。ただし、他の所得との損益通算はできません。
  • 確定申告時に、前年から3年以内の「先物取引に係る雑所得等」の損失金額があれば、当年の同種所得から控除できます。
  • 外国通貨の円換算は、原則として取引日の外国為替レート(TTS/TTB/TTMレート)を用います。ただし、月次や週次の平均レートなど、合理的な換算方法を継続して使用することも認められています。

国内FXの利益には20%の軽減税率が適用されますが、損益通算の範囲が限定されている点に注意が必要です。適切な換算レートを用いて正確に計算し、確定申告を行うことが重要となります。

海外FXと国内FXの税金の違い

海外FXと国内FXでは、税金の取り扱いが異なります。

国内FXの場合、為替差益は雑所得として確定申告の必要があり、20.42%の税率が適用されます。

一方、海外FXの場合は、為替差益は譲渡所得となり、申告separateの必要があります。税率は、居住年数や金額によって異なりますが、最大で20.315%となります。

また、海外FXでは200ドル以下の損益は非課税となりますが、国内FXではこの規定はありません。

さらに、海外FXでは為替レートの計算方法が細かく規定されており、一般に認められた情報源から得た為替レートを使用する必要があります。

このように、海外FXと国内FXでは税金の種類、税率、損益の取り扱いなどが異なるため、適切な確定申告と納税が求められます。海外FXを行う場合は、税制の違いに注意を払う必要があります。

海外FXの確定申告が必要なケース

海外FXの確定申告が必要なケースに関しては、主に以下の内容が挙げられます。

海外FXの確定申告が必要なケース
  • 利益が20万円を超える
  • 給与所得と合わせて20万円を超える

それぞれ詳しく解説していきます。

利益が20万円を超える

外国為替証拠金取引(海外FX)で発生した利益が20万円を超える場合、確定申告が必要になります。海外FXの利益は、雑所得として課税対象となります。申告時には取引報告書の提出が求められ、取引ごとの損益を正確に計算する必要があります。

利益の計算方法は、約定時の外国通貨の売買価格差から発生する損益に加え、取引時と決済時の為替レートの変動による損益も含まれます。つまり、外国通貨の価格変動と為替レートの変動の両方が利益計算に影響します。

利益から控除できる経費は、海外FXの取引に直接関連する費用のみです。手数料や金利、スワップポイントなどが該当します。ただし、パソコンやインターネット通信費などの間接経費は控除できません。

給与所得と合わせて20万円を超える

外国為替証拠金取引(FX)で発生した利益は、原則として雑所得として取り扱われます。雑所得には他の所得と合算して総合課税される部分と、一定の要件を満たせば申告分離課税される部分があります。

給与所得などの他の所得と合わせた総合課税の対象となる金額が20万円を超える場合、確定申告が必要になります。 FXの利益のみでなく、給与所得や事業所得など全ての所得を合計した金額が判断基準となります。

一方、一定の要件を満たせば、FXの利益は申告分離課税の対象となり、分離した課税所得に対して一律15%の税率(所得税15%、復興特別所得税0.315%)が適用されます。 この場合でも、他の所得と合算して20万円を超えれば確定申告が必要です。

つまり、FXの利益があった場合、給与所得などの他の所得と合わせた金額が重要になります。20万円を超えれば、FXの利益を含めた全ての所得について確定申告を行う必要があるのです。

海外FXの確定申告の方法

海外FXの確定申告の方法に関しては、主に以下の内容が挙げられます。

海外FXの確定申告の方法
  1. 海外FX業者から年間取引報告書を受け取る
  2. 国税庁のホームページから確定申告書をダウンロードする
  3. 確定申告書に必要事項を記入する
  4. 住所地の税務署に提出する(郵送または持参)

それぞれ詳しく解説していきます。

海外FX業者から年間取引報告書を受け取る

海外のFX業者から年間取引報告書を受け取ることが重要です。この報告書には、その年の全ての取引の詳細が記載されています。通常、1月末までに電子メールで送付されるか、取引ポータルからダウンロードできます。

報告書の内容としては、完了した全ての通貨取引の収支金額、取得日と処分日、レート、損益額などが記載されています。また、年末時点で保有している未決済ポジションの評価額なども含まれています。

この報告書は、FXの確定申告を行う際に必要不可欠な資料となります。収支の計算は先入れ先出し法(FIFO)で行われるため、取引の時系列と金額を正確に把握する必要があります。報告書を基に適切に申告を行えば、二重課税を避けることができます。

したがって、海外FX業者から年間取引報告書を確実に入手し、内容を確認することが重要です。報告書の記載内容に不備がある場合は、業者に確認を取る必要があります。

国税庁のホームページから確定申告書をダウンロードする

国税庁のウェブサイトでは、確定申告書の様式をダウンロードすることができます。

ウェブサイトにアクセスし、「確定申告書等のダウンロード」のページから必要な様式を選択してください。PDFファイルがダウンロードできるので、それを印刷して利用します。

また、e-Taxというオンラインシステムを利用すれば、確定申告書を電子的に作成し提出することも可能です。e-Taxを利用するには、マイナンバーカードかe-Tax IDとパスワードが必要になります。オンラインで作成した確定申告書は、そのままe-Taxから送信できます。

紙の確定申告書を郵送する場合は、記入済みの用紙を住所地の税務署宛てに投函するだけで提出できます。確定申告期間中は混雑が予想されるため、時間に余裕を持って手続きすることをおすすめします。

確定申告書に必要事項を記入する

海外FXの確定申告では、以下の事項を確定申告書に記入する必要があります。

適切な計算と記入を行うことで、海外FXの利益に対する適正な納税が可能になります。不明な点は税理士や国税局に相談するとよいでしょう。

「申告書第一表」の記載方法

「申告書第一表」は、確定申告をする全ての人が提出する必須の書類です。この表には、収入金額、所得金額、各種控除額などの基本的な事項を記載します。

海外FXの場合、雑所得欄に取引による利益または損失を記入する必要があります。利益があれば雑所得の金額に、損失があれば損失の金額を△(マイナス)付きで記入します。海外FX取引は申告分離課税の対象となるため、第三表への記載は不要です。

また、海外FX取引で発生した損失は、その年の雑所得の範囲内でのみ損益通算が可能です。他の所得種類との損益通算はできません。ただし、控除しきれなかった損失は、翌年以降3年間繰り越すことができます。

海外FX取引に関する収支は、取引の決済時の実際の外国為替レートを用いて円換算し、記載する必要があります。記入に当たっては、取引の明細書や残高報告書などの書類を確認し、正確な金額を転記することが重要です。

「申告書第二表」の記載方法

申告書第二表には、所得の内訳や社会保険料控除などの詳細、配偶者や扶養親族に関する事項を記入します。

  • 所得の内訳欄には、給与所得の源泉徴収票の支払金額や源泉徴収税額を転記します。海外FXの利益は「雑所得」の欄に記入します。
  • 社会保険料控除の欄には、健康保険料や国民年金保険料の控除額を記入します。
  • 配偶者や扶養親族がいる場合は、それぞれの氏名や生年月日、続柄、合計所得金額を記入します。
  • 障害者控除や寡婦(夫)控除、勤労学生控除などの該当する欄にチェックを入れます。
  • 住宅ローン控除の適用を受ける場合は、その内容を記入します。

記入に当たっては、給与所得の源泉徴収票や海外FX取引の年間損益報告書などを確認しながら、正確に転記することが重要です。不明な点は国税庁のウェブサイトやFX会社のサポートを活用しましょう。

「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の記載方法

「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」は、海外FXの確定申告において重要な書類です。

この明細書には、以下の項目を正確に記入する必要があります。

記入事項
  • 先物取引の種類と取引の対象となる商品の名称
  • 取引所名または取引相手方の名称
  • 取引の開始日と終了日
  • 取引数量
  • 約定価格
  • 取引による利益または損失の金額
  • 手数料や取引費用など、取引に関連する経費

これらの項目を漏れなく記入することで、先物取引から生じた雑所得等の金額を正確に計算できます。また、取引の証拠となる書類(約定残高報告書など)を添付する必要があります。

この明細書の記載を怠ると、税務調査で指摘を受ける可能性があります。

海外FXの確定申告では、取引の実態を正しく反映させることが重要です。明細書の作成に当たっては、取引の記録を残しておくことをお勧めします。

「申告書第三表」の記載方法

「申告書第三表」の記載方法は以下の通りです。

STEP

FXの取引に係る雑所得等の金額の計算明細書を作成します。この計算明細書には、FXの取引による収入金額と所得金額を詳細に記載する必要があります。

STEP

次に、確定申告書第三表の「収入金額」欄に、計算明細書で算出した収入金額を転記します。

STEP

「所得金額」欄には、収入金額から必要経費を控除した金額を記入します。FXの場合、必要経費としては取引手数料などが該当します。

STEP

「特例適用条文」欄は、FXの取引には該当しないため、空欄のままで構いません。

STEP

最後に、第三表の右上に住所や氏名を記入します。

FXの取引による所得は、分離課税の対象となるため、第三表への記載が必要になります。計算明細書を正しく作成し、その金額を第三表に適切に転記することが重要です。

住所地の税務署に提出する(郵送または持参)

海外FXの確定申告は、原則として納税者の住所地を所轄する税務署に提出する必要があります。提出方法には主に以下の2つがあります。

郵送による提出

確定申告書に必要書類を同封し、住所地の税務署あてに簡易書留などで郵送します。申告書の控えに受付印を押印してもらう場合は、返信用の切手を貼付した返信用封筒を同封してください。

持参による提出

確定申告書を住所地の税務署に直接持参し、窓口に提出します。待ち時間が長くなる場合があるため、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。一部の税務署では、確定申告期間中の日曜日にも受付を行っている場合があります。

いずれの方法でも、マイナンバーの確認や必要書類の有無などのチェックを受けます。申告書の控えに受付印を押印してもらえば、提出の証明となります。期限(通常は翌年3月15日)までに提出しましょう。

税務署への郵送や持参以外にも、スマートフォンやパソコンからe-Taxで電子申告を行うこともできます。

海外FXの税金対策・節税方法

海外FXの税金対策・節税方法に関しては、主に以下の内容が挙げられます。

海外FXの税金対策・節税方法
  • 経費を可能な限り計上する
  • 所得控除を最大限活用する
  • 国内FXの損失と通算する
  • 税率の低い国の業者を利用する

それぞれ詳しく解説していきます。

経費を可能な限り計上する

海外FXトレードにおいて、経費の計上は重要な節税対策の一つです。トレードに関連する経費は、可能な限り全て計上し、所得から控除することができます。

具体的には、取引手数料、FXプラットフォーム利用料、専門書籍や情報サービス料、パソコンやモニター等の備品費、インターネット通信費、セミナー受講料などが該当します。自宅でトレードする場合は、自宅の一部をトレード専用スペースとして使用し、その面積に応じた家賃や光熱費の一部も経費計上できる可能性があります。

経費の計上には、領収書や明細書などの証拠書類を残しておくことが重要です。また、経費の内容や金額が適切かどうかは、税務署から疑問視される可能性もあるため、過剰な経費計上は避けましょう。適切な経費計上により、確定申告時の所得金額を減らすことができ、節税効果が期待できます。

所得控除を最大限活用する

海外FXの利益に対する所得税の負担を軽減するには、様々な所得控除制度を有効活用することが重要です。まず、海外FXで発生した損失は、その年の利益から控除することができます。損失の繰越控除制度を利用すれば、翌年以降の利益からも控除が可能です。

また、確定申告時に生命保険料控除や医療費控除、寄付金控除などの各種所得控除を適用すると、課税対象所得額が減額されます。さらに、海外FXで発生した費用(取引手数料、金利など)も必要経費として全額控除の対象となります。

このように、損益通算や各種控除制度を組み合わせて活用することで、海外FXに係る所得税負担を最小限に抑えることができます。ただし、控除要件や計算方法は複雑なため、確定申告時には税理士などの専門家に相談するのが賢明でしょう。

国内FXの損失と通算する

海外FXの利益に対する確定申告では、国内FXの損失と通算することができます。これにより、海外FXの利益から国内FXの損失を差し引くことで、総合課税対象所得を減らすことができます。

具体的には、海外FXの利益を「雑所得等(先物取引に係る所得)」に計上し、国内FXの損失も同様に「雑所得等(先物取引に係る所得)」に計上します。そして両者を通算し、損益通算を行います。ただし、他の所得とは損益通算できません。

この方法を利用することで、海外FXと国内FXの損益を相殺でき、確定申告時の納税額を抑えられます。ただし、3年以内に控除しきれない損失は、翌年以降に繰り越すことはできません。適切な申告と記録の保存が重要です。

税率の低い国の業者を利用する

海外FXの税金を抑えるための一つの方法は、税率の低い国の業者を利用することです。各国の税制は異なり、一部の国では海外FXの利益に対する税率が低く設定されています。例えば、英国の税率は20%程度と比較的低めです。

ただし、単に税率が低い国の業者を選ぶだけでは不十分です。その国の規制当局から適切な許可を得ており、顧客資産の分別管理など一定の基準を満たしている業者を選ぶ必要があります。また、自国と取引相手国の租税条約の内容を確認し、二重課税が生じないよう注意を払う必要があります。

税率の低い国の業者を利用する場合、為替レートの変動リスクや送金手数料など、他のコストにも留意しましょう。利便性の面でも、言語の違いや時差による制約があるかもしれません。税金対策は重要ですが、トータルコストやサービス内容なども考慮し、最適な業者を選ぶことが賢明です。

海外FXのキャッシュバックの税務上の取り扱い

海外FXでキャッシュバックを受け取った場合、その金額は雑所得として確定申告の対象となります。キャッシュバックは外国為替証拠金取引から生じた利益とみなされるため、他の海外FX取引と同様に課税されます。

キャッシュバックを受け取った年の確定申告で、雑所得の欄に金額を計上する必要があります。雑所得から必要経費を控除できますが、海外FXの場合は通常必要経費はありません。したがって、キャッシュバック全額が課税対象所得となります。

また、海外FXで発生した損失がある場合は、その損失とキャッシュバックを通算して、差し引き残額が課税対象所得となります。損失の方が大きければ、その年の海外FXに関する所得は0円となり、翌年以降3年間は繰り越すことができます。

キャッシュバックを含む海外FXの利益・損失は、他の営利を目的とする事業所得や不動産所得などの金額と合算されて、総合課税の対象となります。確定申告時に正確に計算し、申告を怠らないようにしましょう。

海外FXの税金に関するよくある質問

海外FXの税金に関するよくある質問に関しては、主に以下の内容が挙げられます。

海外FXの税金に関するよくある質問
  • 海外FXの税金が高すぎる場合はどうすればよい?
  • 海外FXの利益は会社にバレる?
  • 海外FXの利益はいくらから申告が必要?
  • 海外FXの税金を二重に払うことはある?

それぞれ詳しく解説していきます。

海外FXの税金が高すぎる場合はどうすればよい?

海外FXの税金が高すぎると感じる場合は、いくつかの対策を検討することができます。

まず、海外FXの取引を行う際の税金計算方法を確認し、控除可能な経費があれば適切に控除することで、課税対象所得を減らすことができます。また、確定申告時に損失の繰越控除を適用することで、翌年以降の課税所得から控除することも可能です。

さらに、海外FXの取引を行う金融機関を見直し、取引手数料や売買レートなどを比較検討することで、コストを抑えられる可能性があります。一部の金融機関では、海外FX取引に対する優遇税制を設けているところもあります。

最後に、海外FXの取引量を抑え、投資対象を国内取引に切り替えることで、海外FXに係る税金負担を軽減できる場合もあります。ただし、投資リスクの分散などを考慮する必要があります。

海外FXの利益は会社にバレる?

海外FXの利益は、原則として個人の所得として扱われるため、会社には報告する必要はありません。ただし、会社員が海外FXを行う場合は、就業規則などで制限されている可能性があるので注意が必要です。

海外FXの利益は、雑所得または新設の「先物取引に係る雑所得等」に区分され、確定申告の際に申告が必要となります。利益が20万円を超える場合は、原則として15%の税率(所得税15%、復興特別所得税0.315%)で課税されます。

一方、会社員が海外FXで損失を出した場合でも、会社には報告する義務はありません。ただし、確定申告で損失を控除するためには、取引の証拠書類を保管しておく必要があります。

つまり、海外FXの利益や損失は、個人の所得として扱われるため、会社には報告する必要はありません。ただし、就業規則などで制限がある場合は注意が必要です。

海外FXの利益はいくらから申告が必要?

海外FXの利益については、一定の金額を超えた場合に申告が必要となります。具体的には、海外FXの利益が20万円を超えた場合、その利益額を雑所得として確定申告する必要があります。

一方、海外FXの損失については、他の雑所得と損益通算が可能です。つまり、海外FXで損失が出ても、他の雑所得があれば相殺することができます。ただし、確定申告時に適切に控除を受けるためには、海外FXの取引記録を残しておく必要があります。

カナダでは、海外FXの為替差益が200カナダドル以下の場合は申告不要ですが、それを超える場合は申告が必要となります。また、オーストラリアでは1万豪ドル以上の現金取引について報告義務があります。

海外FXの税金を二重に払うことはある?

海外FXの取引で得た利益に対して、二重課税のリスクがあります。例えば、日本に居住しながら海外のFX会社で取引した場合、日本と取引先の国の両方で課税される可能性があります。

しかし、多くの国は二重課税防止条約を結んでおり、この条約に基づいて二重課税を回避できます。

一般的には、以下のような対応がなされます。

  • 居住国で納税した外国源泉の所得に対する税額を、居住国の納付税額から控除する
  • 居住国が外国源泉の所得を非課税とする

ただし、二重課税防止の措置を受けるには、居住国と源泉国の税率の高い方の税率が適用されます。また、必要書類の提出など一定の手続きが必要となります。

適切な手続きを行えば、海外FXの利益に対する二重課税は回避できますが、完全に免れるわけではありません。居住国と取引先の国の税制や二重課税防止条約の内容を確認する必要があります。

まとめ

FXの利益は、一定額を超えると「雑所得」として総合課税の対象となります。一方、損失が出た場合は、他の雑所得と損益通算が可能です。ただし、他の所得とは損益通算できません。また、繰越控除は3年間に限られます。

海外FXの税金計算は複雑で、取引通貨や居住地によって異なります。非居住者の場合、外国源泉所得に対する外国税額控除の規定があります。

FXの利益や損失は、取引日の為替レートで円換算します。税務署の指定する方法に従う必要があります。計算を誤ると追徴課税のリスクがあるため、注意が必要です。

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