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海外FX法人化は意味ない?メリット・デメリット・税金の違いなどを解説

この記事では「海外FXで法人化する意味はあるのかないのか?」という疑問を解消するために、法人化のメリット・デメリットを紹介していきます。

コンスタントにFXで稼げるようになってくると「節税」や「税金対策」を検討することになりますが、法人化はそうした手段のうちのひとつです。

個人と法人では所得にかかる税率や納める税金の種類が異なります。また、所得額によっても納めるべき税額は変化しますので、稼いでいるトレーダーはできるだけ税負担が低い方を選択するわけです。

ここでは、そんな海外FXの税金対策に関わってくる法人と個人の税金の違いなどを詳しくまとめました。そのほか「いくらくらいの所得から法人化を検討した方がいいのか?」についても解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

海外FX法人化は意味ない?-概要
  • 海外FXで法人化する理由は「税金対策」のため
  • 個人口座との税金・税率の違いについて
  • 海外FXで法人化するメリット・デメリット
  • 海外FX口座を法人化させる損益分岐点
  • 海外FXで法人化する際の注意点
  • 「海外FXの法人化は意味ない」に関してよくある質問
目次

海外FXで法人化する理由は「税金対策」のため

海外FXトレーダーがある程度稼げるようになると法人化するのは「税金対策」のためです。

法人(株式会社など)を設立し、法人口座でFX取引をすれば、そこで得た利益は法人の所得とみなされます。

年間所得や計上する経費など、様々な条件が合致すると個人口座(最高税率55%)で取引するより法人口座(最高税率およそ30%)で取引した方がトータルで支払う税金の額が低くなるので、稼いでいるトレーダーたちは法人化を進めていくわけです。

法人化を検討するのは主に海外FXトレーダーです。国内FX業者を利用している場合は所得にかかる税率が一律20.315%なので、あまり法人化するメリットを感じられません。

海外FX法人化は意味ない?個人口座との税金・税率の違いについて

海外FXの法人化を調べてみると「意味がない」といった意見を目にすることもありますが、ここでは法人口座と個人口座の税率などを比較しながら解説していきます。

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税金の種類法人口座個人口座
所得税15~23.2%5~45%
住民税およそ1~7%
※都道府県によって異なる
10%
その他【法人事業税】
およそ3.5~7%
※都道府県によって異なる
健康保険料に影響を与える
合計およそ30~37%55%+健康保険料の増加負担

上記の表は法人と個人の所得にかかる主な税金をまとめたものとなります。法人の方は所在地となる都道府県や市区町村によって税率が変わる部分もありますが、多少税率が上下しても個人口座で取引するよりトータルの税額を抑えられるわけです。

また、個人の所得が上がると健康保険料が高くなるというのも懸念されるポイントです。

健康保険料の算出方法は雇用形態や住んでいる自治体によって変わりますが、仮に年間1,000万円のFX所得があった場合は1年間で100万円以上の健康保険料を支払うことになります。

所得税や住民税と合算するとFX所得から60%前後が差し引かれる計算なので、法人口座を使った方が全体的に税負担が低くなるということです。

参考:全国健康保険協会

海外FXで法人化するメリット

ここからは海外FXトレーダーが法人化するメリットを紹介していきます。

  • 一定以上の所得(FX利益)から税金が安くなる
  • 最高10年間「赤字(損失)」の繰り越しができる
  • 経費にできるものが増える
  • 他の事業との損益通算が可能になる
  • 決算時期を自分で決められる

「納める税金が安くなる」というのが基本的なメリットですが、それに関連する部分を詳しく説明していきます。

一定以上の所得(FX利益)から税金が安くなる

個人が海外FXで得た利益には「累進課税率」が適用されます。これは所得が上がると税率も段階的に上がるという税制度です。

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課税対象となる所得所得税率所得税の控除額
1,000円~1,950,000円まで5%0円
1,950,001円~3,300,000円まで10%97,500円
3,300,001円~6,950,000円まで20%427,500円
6,950,001円~9,000,000円まで23%636,000円
9,000,001円~180,000,000円まで33%1,536,000円
18,000,001円~40,000,000円まで40%2,796,000円
40,000,001円以上45%4,796,000円

こちらは累進課税率の一覧表となりますが、例えば個人トレーダーが海外FXで年間300万円の所得を得た場合は「(300万円×10%)-97,500円=202,500円」の所得税と「300万円×10%=30万円」の住民税を納めることになるわけです。

これくらいの所得だと法人口座で取引するより税率・税額が低いので個人口座の方が得をします。

しかし、さらに海外FXでの所得が上がると、およそ30~37%という法人税率(所得税・住民税・事業税の合算)よりも個人税率の方が高くなってしまいます。

単純に計算すれば個人の所得税率と住民税率の合計が33%を超える「695万円」がひとつの目安となりますが、控除額などを考えると年間のFX所得が「900万円」を超えるあたりから法人口座の利用を検討してみてください。

国内FXを利用していた場合は所得額に限らず一律20.315%の税率が掛けられます。そのため、年間所得が695万円(税率20%)までなら海外FXの方が税金的に有利と言えるわけです。

最高10年間「赤字(損失)」の繰り越しができる

法人の確定申告(決済)では当年の「赤字(損失)」を最高10年まで翌年以降に繰り越すことが可能です。一方、個人の確定申告では最大3年までしか損失の繰り越しができません。

大きな損失を抱えた場合はその損失を翌年に繰り越すことで利益と相殺できます。これを10年に渡って繰り越せるというのが法人化の大きなメリットです。

前年の損失と当年の利益を相殺しても当年の損益がマイナスの場合は、最低額の法人税(年間およそ7万円程度)のみ納めることになります。

経費にできるものが増える

個人よりも法人の方が経費にできるものが増えます。税金が課せられる「所得」とは「利益」から「経費」を差し引いた金額のことなので、計上できる経費が多ければそれだけ税金対策としての効果が上がるわけです。

例えば、主にトレードをしている場所(賃貸住宅や事業所)の家賃は一部または全部が経費となります。

また、法人口座で稼いだ利益から自身や従業員に渡す「役員報酬」「給与」も経費にできるもののひとつです。

他の事業との損益通算が可能になる

法人を設立する際には事業内容を定めますが、その事業に関わる損益はすべて合算して申告をすることになります。

つまり、法人化をすればFXトレードなど投資関連だけでなく、別事業との損益通算も可能となるわけです。

FXの利益が多くなっても別事業の損失や経費を差し引けば納める税額が抑えられます。これが法人化最大のメリットと言えるでしょう。

決算時期を自分で決められる

個人の確定申告は毎年2月~3月と決まっていますが、法人の場合は自分で決算の時期を決められます。

つまり、ひとりで海外FX用の法人を設立する際は、法人の決算時期と個人での確定申告時期をズラすことで税金を納付するタイミングを分散させられるわけです。

数十万円~数百万円という税金を一度に納めるのは厳しいという場合は、法人の決算と個人の確定申告(役員報酬の分)を上手く使い分けてみましょう。

法人の決算時期は途中で変更することもできます。ただし、手続きがとても複雑なので決算の時期は最初によく検討してから決めましょう。

海外FXで法人化するデメリット

ここでは、海外FXトレーダーが法人化するデメリットを解説していきます。

  • 法人設立には手間とお金が掛かる
  • 所得税以外の税金(法人事業税・法人住民税)が発生する
  • 大半の場合は税理士などに顧問料を支払うことになる
  • 出金額や出金のタイミングに制限が掛かる
  • 年間のFX所得が減った場合には逆に金銭的負担が増える

法人化・法人口座の利用にはデメリットに感じる部分もあります。無闇に法人化すると支出や税負担が上がる危険性もあるので、あらかじめ内容をよく理解しておきましょう。

法人設立には手間とお金が掛かる

法人の設立にはある程度の手間とお金が掛かります。具体的には株式会社の設立まで2週間、合同会社でも1週間ほどの期間を必要としますが、これはあくまでスムーズにいった場合です。

ひとりで手続きをしようとすればもう少し期間が伸びると思っておいてください。

なお、法人を設立する場合は専門の業者に委託することが大半です。これに掛かる費用はバラバラですが、少なくとも10万円~20万円の費用は掛かります。

法人設立後は各役所に届け出を提出することになりますが、自分でやれば時間が掛かり、業者に依頼すれば費用が別途掛かるということを理解しておきましょう。

所得税以外の税金(法人事業税・法人住民税)が発生する

法人の経済活動には法人所得税のほか法人事業税と法人住民税が発生します。個人の場合でもFXの所得に住民税は掛かりますが、この法人事業税や法人住民税の存在を忘れていると思っていた通りの節税効果が生まれませんので注意しましょう。

ちなみに法人事業税と法人住民税の税率や金額は登録する自治体(都道府県や市区町村)によって変わってきます。

自宅を法人の登録場所とする場合は、あらかじめ法人に関わる税率を確認しておきましょう。

大半の場合は税理士などに顧問料を支払うことになる

個人トレーダーから法人成りをすると自身の確定申告のほか、会社の決算までおこなうことになりますが、大半の場合は税理士に顧問料を支払って手続きをしてもらいます。

中には個人トレーダーの頃から顧問税理士を雇っていた方もいるかと思いますが、法人の決算手続きや経費のチェックなどは当然「別料金」です。

これは個人トレーダーのときに掛からなかった費用なので、法人化する上でのデメリットのひとつと言えるでしょう。

税理士への顧問料は依頼する作業内容や会社の規模によって変わってきますが、少なくとも月額2~3万円くらいは必要となります。

出金額や出金のタイミングに制限が掛かる

「法人口座のお金=代表者(自分)のお金」ではありません。そのため、法人名義の銀行口座から出金をおこなうときはタイミングと金額に制限が掛かります。

正式には自分で使うお金を法人名義の口座から引き出す場合は、一度役員報酬という形で自身の銀行口座に振り込まないといけないわけです。

個人トレーダーの場合は自分の好きなタイミングでお金を引き出せるので、そのことを考えると少々不便に感じるかもしれません。

年間のFX所得が減った場合には逆に金銭的負担が増える

法人の場合は、最低でも所得に対して15%の法人所得税が発生します。対して個人の場合は、年間所得が330万円以下なら所得税率が10%で済みます。

つまり、FXの年間所得が330万円を下回ったときは法人の方が納めるべき税額が多くなるということです。

また、法人の場合は税理士顧問料などの経費がプラスされるので、より自分に入る利益が少なくなります。こうした部分も法人化を検討する上では重要なことなので覚えておきましょう。

個人と法人ではトータルして「どちらの方が自分に残る金額が多くなるのか」を最初に計算しておくことが大切です。

【いくらから?】海外FX口座を法人化させる損益分岐点

【いくらから?】海外FX口座を法人化させる損益分岐点

海外FXトレーダーが法人化するタイミングとしては「年間のFX所得1,200万円以上」というのがひとつの目安となります。

個人トレーダーの場合、年間のFX所得が1,200万円だと所得税率は33%です。これに10%の住民税を足すと、納めるべき税額は以下のようになります。

税金の計算例・個人トレーダーが所得1,200万円の場合
  • 所得税は「(1,200万円×33%)-1,536,000円=2,424,000円」
  • 住民税は「1,200万円×10%=1,200,000円」
  • 合計は「2,424,000円+1,200,000円=3,624,000円」

個人だと上記の金額に年間の健康保険料がプラス10%程度加算されるので、負担する額は約500万円弱となります。

対して法人だとおよそ30~33%の税率(法人所得税・法人住民税・法人事業税)が掛かり、その合計額はだいたい360万円~400万円弱です。

法人の維持に掛かる諸経費を考えても、コンスタントに1,200万円以上を稼げるのであれば法人化する意味があると言えるでしょう。

所得税だけをシンプルに計算するなら900万円あたりが目安のラインとなりますが、法人を維持し続けるためにはやはり1,200万円前後の所得が必要と言えます。

海外FXで法人化する際の注意点

ここからは個人トレーダーが海外FXで法人化する際の注意点を解説していきます。

  • サラリーマンは会社が副業NGではないことを確認する
  • 法人設立時には業務内容にFX以外の項目を含める
  • 少なくとも2~3年ほどFX利益が安定してから法人化する

法人化を検討している方は、ぜひこちらの内容をご覧になっておいてください。

サラリーマンは会社が副業NGではないことを確認する

サラリーマンの方は海外FX用の法人を設立する前に「副業NG」ではないかを会社に確認しておきましょう。

副業を禁止されている会社の場合だと、在籍する社員による法人の設立も認められない可能性があります。

なお、その場合には家族名義(兄弟や結婚相手など)で法人を設立するなど、会社の規約に引っ掛からない方法を検討しましょう。

法人設立時には業務内容にFX以外の項目を含める

法人は最初に登録した業務内容以外の仕事で利益を得ること、経費を計上することができません。そのため、設立時にはFXトレード(投資や投機など)以外の業務内容を含めておくことが重要となります。

例えば業務内容に広告業を含めておけば、アフィリエイトサイトや動画サイトによる広告収入を得ても問題がなくなるといったイメージです。

また、この場合はアフィリエイトサイトや動画サイトの運営に必要なサーバーレンタル代・撮影機材の購入費などが法人の経費として計上できます。

少なくとも2~3年ほどFX利益が安定してから法人化する

海外FXで法人化をする場合、少なくとも2~3年は様子見をしましょう。FXの収益が1年間だけ良かったとしても、翌年以降も同じだけ稼げるとは限りません。

早まって法人の設立をすると稼げなくなったときに無駄な負担を強いられることになりますので、コンスタントに年間所得1,000万円程度を達成できるようになってから法人化を検討してみてください。

法人は設立時だけでなく、解散時にも費用が掛かります。また、解散の手続きは非常に複雑なので、無闇に会社を立ち上げることはあまり推奨できません。

法人化に適したおすすめ海外FX業者3選

ここからは法人化に適したおすすめの海外FX業者を3つ紹介していきます。

  • AXIORY
  • TitanFX
  • exness

法人として取引をおこなう場合は法人用口座の開設が必須ですが、こちらでピックアップした3社はどれも法人用口座の提供をおこなっています。

AXIORY

AXIORY

AXIORYは狭いスプレッドと高速の約定力を特徴とする海外FX業者です。日本人トレーダーの間でも知名度が高く、スキャルピングトレードに適した口座として知られています。

そんなAXIORYでは法人用口座の提供もおこなっていますので、法人化を検討している方にはおすすめです。

また、個人口座と同じ取引条件が使えるところも特徴的な部分です。これまでAXIORYを使っていた場合は同じような形でトレードができます。

TitanFX

TitanFX

TitanFX最大1,000倍のレバレッジ、土日でも仮想通貨取引が可能なトレード環境を提供する海外FX業者です。

ZeroPoint(ゼロポイント)テクノロジーと呼ばれる独自の技術を採用することで、サーバーの高い安定性と素早い決済スピードを実現しています。

TitanFXも法人用口座を用意している海外FX業者なので、法人化を検討している方はぜひチェックしてみてください。

exness

exness

exness無制限レバレッジと豊富な取り扱い銘柄を特徴とする海外FX業者です。一般的な通貨ペアFXだけでなく、世界中の主要な企業の株式に対して投資することもできます。

そんなexnessでも法人口座を提供していますが、exnessの場合は法人口座開設の前に個人口座での実績を積むことが必要です。

個人口座で3ヶ月以上の取引実績があり、なおかつexnessのプレミアプログラムでシグネチャー会員(最高ランク)になると法人口座の申請ができるようになっています。

少々面倒に感じるかもしれませんが、ハードルが高いということはそれだけ信頼性が高いということでもあります。

ちなみにプレミアプログラムで最高ランクのシグネチャー会員になれば「限定特別プロモーション」「専属アカウントマネージャー」などの特典やサービスを受けられますので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。

「海外FXの法人化は意味ない」に関してよくある質問

最後は「海外FXの法人化は意味ない」という意見に関してよくある質問に答えていきます。

海外FXの法人化のやり方は?

海外FXで法人化するやり方は以下の通りです。

海外FXトレーダー・法人化までの流れ
  • 法人を設立する
  • 希望する海外FX業者の法人用口座を開設する
  • 法人用口座で取引をおこなう

法人として活動するためには運営元となる会社が必要です。ネット上には法人の設立を代行してくれる業者がたくさん存在していますので、そういった業者に依頼して法人の設立を進めていきましょう。

法人の設立が完了したら、法人名義の海外FX口座を開設していきます。

なお、この際には法人代表者の身分証・現住所確認書類のほか「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の写し」「法人の住所確認書類(印鑑登録証明書など)」「法人口座開設申請書(FX業者が用意する場合)」などを提出することになります。

海外FX業者「XM」に法人口座はある?

日本人トレーダーの間でよく知られている海外FX業者「XM」では、いまのところ法人口座の提供をおこなっていません。

そのため、法人化を希望する方は別の海外FX業者を選ぶことになります。

法人口座を作るなら国内FXと海外FXどちらがおすすめ?

法人口座を開設するなら海外FXがおすすめです。国内FXよりも使えるレバレッジ倍率が大きく、さらに大半の海外FX業者では追証の請求がないゼロカットシステムを採用しています。

また、これまで海外FXで稼いできたトレーダーであれば海外FXの取引環境の方が合っているので、わざわざ国内FXを選ぶ必要はあまりないと言えるでしょう。

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