「FXのスプレッドとは?」「スプレッドが開きやすい時間帯は?」
この記事ではFXの損益に関わってくるスプレッドについて詳しくご紹介していきます。
スプレッドとは売値と買値の差額のことです。一般的にスプレッドは取引に掛かるコストとして認識されていますが、取引手数料とは異なる性質を持っています。
また、多くの国内証券会社では原則固定制のスプレッドを採用していますが、時間帯や市場状況などによってスプレッド幅が変化することもあります。
ここでは、そんなスプレッドに関する基礎知識やスプレッドがFX取引に与える影響などを分かりやすくまとめました。
こちらをご覧いただけばFX初心者の方でもスプレッドのことが理解できますので、ぜひ参考にしてみてください。
- スプレッドと取引手数料の違い
- スプレッドが広がりやすいタイミング
- スプレッドがFXトレードに与える影響
- スプレッドが狭いおすすめの国内証券会社3選
- FXのスプレッドに関するよくある質問
FXのスプレッドとは?取引手数料との違いも解説
スプレッドとは売値と買値の差額のことを指す金融用語です。FXでは買い注文を出すときには「買値」、売り注文を出すときには「売値」で約定がおこなわれます。
そして、買い注文を決済するときは「売値」、売り注文を決済するときは「買値」のレートが適用されます。
たとえば米ドル円(USD/JPY)の買値が「123.800円」のときに1万通貨分の買い注文を出し、そのスプレッドが「0.2=2銭」だったと仮定しましょう。
そうすると「10,000通貨×0.2銭=20円」の差額が発生しますが、この20円という差額がスプレッドです。
上記の条件で注文を通すと「評価損益マイナス20円」からスタートし、その後に米ドル円の価格が上がるとマイナス20円が段々と減っていくことになります。(売値が123.800円を超えたところからプラスに転じる)
当然、スプレッドの幅が広いとトレーダー側は余計なコストが掛かるため不利です。そのため、多くのトレーダーはスプレッドが狭く設定されている証券会社を選ぶわけです。
こうしたことからスプレッドは取引手数料のようなものと考えられますが、厳密にはスプレッドと取引手数料は異なる性質を持っています。
スプレッド | 原則固定制を採用する証券会社が多いが、時間帯によってスプレッドの幅が広がることもある(経費としては扱えない) |
取引手数料 | 基本的には決められた金額しか取引手数料として徴収されない(経費として扱える) |
簡単に説明するとスプレッドと取引手数料にはご覧のような違いがあります。これからFXを始める方は、ぜひ上記の内容を覚えておいてください。
FXのスプレッドが決まる仕組み・広がる理由
スプレッドの幅(数値)は対象の通貨ペアの価格や値動きの激しさ(市場流動性)をもとに、各証券会社が適切なスプレッドを算出し決定しています。
たとえば「1日の間に1円しか値動きが進まない通貨ペア」と「1日の間で5円の値動きを見せる通貨ペア」では後者の方が値動きの幅が大きいので、その分スプレッドも広く設定されやすいわけです。
また、国内の証券会社では原則固定制のスプレッドを採用していますが、以下のようなケースや時間帯においてはスプレッドの幅が広がることもあります。
- 戦争・テロ・震災などの影響によって為替市場が急変した場合
- 各国の為替市場が閉まり取引量が低下する日程や時間帯
- 重要な経済指標が発表される時間帯
こうしたときには事前の条件に関わらずスプレッドの幅が変化しますので、経済ニュースなどをよくチェックしておきましょう。
スプレッドがかかるタイミング
スプレッドは注文を通した時点で掛かります。ただし、実際のコストとして確定するのは決済をおこなったときです。
仮に「スプレッド=0.2銭」「1万通貨」という条件で注文を出した場合はマイナス20円のコストが掛かりますが、そのあと価格が動いて評価損益がプラスに転じた場合はスプレッド分のマイナスがなくなります。
厳密には20円分のコストを支払っているものの、目に見えて口座残高から20円が差し引かれるわけではないということです。
スプレッドの計算方法をかんたんに紹介
スプレッドとして掛かる取引コストは以下の計算方法によって算出されます。
- 注文量(通貨数)×スプレッドの幅(数値)=実質的な取引コスト
- 例1)10,000通貨×0.5銭=50円
- 例2)100,000通貨×0.5銭=500円
「0.5銭」のスプレッドが設定されている通貨ペアに1万円分の注文を出した場合は「50円」、10万円分の注文を出した場合は「500円」が掛かります。
このようにスプレッドとして掛かってくるコストは注文量によって変わってくるため、注文を出すときにはあらかじめその金額を計算しておくことが大事です。
開きすぎ注意!スプレッドが広がりやすいタイミング
ここからはスプレッドが広がりやすいタイミングをご紹介していきます。
- 市場の流動性が低い日・時間帯
- 主要国の金融機関が経済指標を発表した時
- 経済に大きな影響力を持つ要人が発言した時
それぞれの内容を簡単に説明していきますので初心者の方はぜひご覧ください。
市場の流動性が低い日・時間帯
取引に参加しているトレーダーの数が少ないと市場の流動性が低くなり、トレーダーの数が多くなると市場の流動性が高くなります。
市場の流動性が低いタイミングだと1人もしくは1回の大口取引によって為替の価格が大きく動いてしまう可能性があるため、各証券会社はスプレッドを広く設定するわけです。
- 深夜~早朝のトレーダーが少ない時間帯
- 他の市場の開場・閉場の前後
- 主要マーケットの休場日
- 主要国の祝祭日
ちなみに週明けの開場直後は多くのトレーダーが「様子見」の状態となるので、市場の流動性が下がりやすいと考えられています。
主要国の金融機関が経済指標を発表した時
経済主要国が経済指標を発表するタイミングもスプレッドが広がりやすい時間帯となっています。なお、経済指標とはその国の経済状況を数値化したデータのことです。
たとえば日本が「今月の失業率は前月より30%も増えました」と発表したと仮定しましょう。こうなると日本に対する危機感や不安感が上がるので、急激に日本円が売られ米ドルやユーロなど他通貨が買われるようになります。
当然、急な注文が殺到すれば通貨ペアの価格が乱高下するため、スプレッドも広がりやすくなるということです。
ちなみに代表的な経済指標としてはアメリカの金融政策を決めるFOMCや日銀による政策金利の発表などがあります。
経済に大きな影響力を持つ要人が発言した時
各国の要人の発言も為替の価格に大きな影響を与えます。この要人とは政治家だけに留まらず、各国主要銀行の代表者や大企業の経営者なども含まれます。
ちなみに日本の場合は「日銀総裁」の発言が日本円に対し影響を与えることで有名です。
なお、こちらは各国の経済指標や日銀総裁の発言などが発表されるスケジュールをまとめた「経済カレンダー」というものです。
多くのトレーダーはこうした経済カレンダーを見て為替の価格が動くタイミングやスプレッドが広がるタイミングを予測しています。
FXトレードの損益にスプレッドが与える影響
ここではスプレッドがFXトレードの損益に与える影響を簡単に解説していきます。
まず大前提としては「スプレッドが狭いとトレーダーにとって有利」「スプレッドが広いとトレーダーにとって不利」という点を覚えておきましょう。
たとえば2つの証券会社において米ドル円のスプレッドが「A社:0.2銭」「B社:0.5銭」だったとします。この際、両社におけるスプレッドの差額は「0.3銭」です。
1万通貨分の注文を出した場合には「30円」の差、10万通貨分の注文を出した場合には「300円」の差が生じます。
一見すると数十円~数百円の差しかないようにも感じますが、仮に100回の取引をおこなった場合は3,000円~30,000円もの差になります。
長期的にFXを続けた場合はこの差額がさらに増えますので、スプレッドが狭い証券会社を選んだ方が得をするということです。
FXを始める際はスプレッドの狭さだけで証券会社を選ぶともったいない!
ここまでスプレッドの基本概要やスプレッドの重要性を解説してきましたが、証券会社を選ぶときにはスプレッド以外の要素も確認しておくことが重要となってきます。
- 取引ツールの使いやすさ
- 経済情報コンテンツの充実度
- サポート体制
- キャッシュバックの有無
- 各種キャンペーンの豊富さ
初心者が証券会社を選ぶときには「取引ツール」が使いやすいかどうかもチェックしておきましょう。どれだけ条件が良い証券会社でも取引ツールや取引画面が使いにくい、見づらいとなると上手くトレードができません。
また、証券会社の中には最新の経済ニュースやコラムなどを積極的に発信しているところもあります。経済情報コンテンツが充実している証券会社は「稼げるタイミング」を察知しやすいのでトレーダーにとって有利に働きます。
そのほか「夜間でもサポートを受けられるのか(電話やメールに応答してくれるのか)」「キャッシュバックやスプレッド縮小などのキャンペーンを定期的に実施しているのか」なども大切なポイントなので確認しておきましょう。
【比較】スプレッドが狭いFXにおすすめの証券会社3選
ここからはFX初心者のためにスプレッドが狭いおすすめの証券会社を3つご紹介していきます。
名称 | GMOクリック証券 | SBIFXトレード | みんなのFX |
---|---|---|---|
通貨ペア | 20通貨ペア | 34通貨ペア | 34通貨ペア |
最小注文単位 | 1000通貨 | 1通貨 | 1000通貨 |
手数料 | 無料 | 無料 | 無料 |
無料デモの有無 | ○ | ✕ | ○ |
公式サイト | GMOクリック証券公式サイト | SBIFXトレード公式サイト | みんなのFX公式サイト |
各証券会社の基本概要や特徴を分かりやすくまとめたのでご覧ください。
GMOクリック証券
- 新規口座開設+取引で最大55万円キャッシュバック
- PC・スマホともに使いやすい取引ツール・アプリを用意
- デモ口座あり
GMOクリック証券では新規口座開設後、一定の取引量をクリアした方に最大55万円のキャッシュバックを提供しています。
また、最大の特徴はパソコンとスマホにそれぞれ対応した使いやすいツールやアプリを用意しているところです。ちなみにブラウザから直接取引することもできるので、パソコンやスマホの容量を増やしたくない(容量が少ない)方にもおすすめとなっています。
なお、GMOクリック証券には簡単な手続きのみで利用できる「デモ口座」もあります。一度FX体験をしてみたいという方は、ぜひGMOクリック証券を選んでみてください。
SBI FXトレ―ド
概要 | |
---|---|
名称 | SBI FXトレード株式会社 |
通貨ペア | 34通貨ペア |
最小注文単位 | 1通貨 |
手数料 | 無料 |
無料デモの有無 | ✕ |
公式HP | SBIFXトレード公式サイト |
- 取り扱い通貨ペアの数が業界トップクラス
- 最小注文量は1通貨
- スプレッド縮小キャンペーンを定期的に実施
SBIFXトレードの特徴は34種類もの通貨ペアを取り扱っているところです。国内証券会社の場合はだいたい20種類くらいが平均的な数なので、34種類というのはかなり多い数と言えます。
また、SBIFXトレードには1通貨から注文可能といった特徴もあります。数百円程度からFXを体験できるのは、初心者にとって非常に魅力的な部分です。
さらに対象期間中は一部の通貨ペアのスプレッドが狭くなるキャンペーンも実施しています。取引条件がとても優れているので、あらゆる方におすすめできる証券会社と言えるでしょう。
みんなのFX
概要 | |
---|---|
名称 | トレイダーズ証券株式会社(みんなのFX) |
通貨ペア | 34通貨ペア |
最小注文単位 | 1000通貨 |
手数料 | 無料 |
無料デモの有無 | ○ |
公式HP | みんなのFX公式サイト |
- 新規口座開設+取引で最大100万円のキャッシュバック
- スプレッド縮小&スワップポイント増量キャンペーンを実施
- 登録不要のデモ口座あり
トレイダーズ証券が運営する「みんなのFX」では、新規口座開設+一定の取引量クリアで最大100万円のキャッシュバックが貰えるキャンペーンを実施しています。
また、スプレッドが大幅に縮小されるキャンペーンやスワップポイントが増量されるキャンペーンなどもおこなっていますので、キャンペーンやボーナスを重視する方にはおすすめです。
そのほか「取り扱い通貨ペア数が34種類と豊富」「登録不要ですぐ使えるデモ口座あり」といった部分も「みんなのFX」の特徴となります。
主要なFX証券会社のスプレッド一覧
ここでは各証券会社が設定している主要通貨ペアのスプレッドを一覧表にしてまとめました。
GMOクリック証券 | SBIFXトレード | みんなのFX | |
---|---|---|---|
USD/JPY | 0.2銭 | 0.18銭 | 0.2銭 |
EUR/JPY | 0.5銭 | 0.48銭 | 0.4銭 |
GBP/JPY | 0.9銭 | 0.88銭 | 0.8銭 |
AUD/JPY | 0.6銭 | 0.58銭 | 0.6銭 |
NZD/JPY | 0.7銭 | 1.18銭 | 0.7銭 |
ZAR/JPY | 0.9銭 | 0.88銭 | 0.9銭 |
MXN/JPY | 0.2銭 | 0.18銭 | 0.3銭 |
TRY/JPY | (原則固定対象外) | 1.58銭 | 1.6銭 |
EUR/USD | 0.4pips | 0.38pips | 0.3pips |
ご覧のようにスプレッドの数値というのは利用する証券会社によって若干変わってきます。自分が取引したいと考えている通貨ペアのスプレッドを確認し、どこの証券会社なら有利に取引を進められるのかを考えてみてください。
FXのスプレッドに関してよくある質問
最後は「FXのスプレッド」に関するよくある質問をご紹介していきましょう。
初心者が抱えるそれぞれの疑問を分かりやすい形で解消していきますので、ぜひご覧になっていってください。
FXはスプレッド以外に手数料はかかる?
大半の国内証券会社ではスプレッド以外の手数料を「無料」としています。FX口座を維持・利用するためには入金や出金をおこなう必要がありますが、そのあたりの手数料も基本的には掛かりません。
ただし、入金の仕方によっては銀行所定の手数料が掛かる場合がありますので、その点はあらかじめ把握しておきましょう。
自動ロスカット発生時、追加証拠金制度による強制決済執行時のみ手数料として1万通貨単位あたり税込500円。但し、南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は、10万通貨単位あたり税込500円。
引用:GMOクリック証券
また、ご覧のように一部の証券会社ではロスカット時に手数料が発生するケースもあります。
固定スプレッドと変動スプレッドはどう違う?
スプレッドには「固定制」と「変動制」の2種類があり、大半の国内証券会社では固定制のスプレッドが採用されています。(変動制を採用するのは主に海外のFX業者)
そんな固定スプレッドのメリットはコストの計算がしやすいところです。ただし、深夜帯~早朝や重大な経済指標発表前後といったタイミングではスプレッドの幅が広がることもあります。
対して変動スプレッドを採用する海外FX業者では常にスプレッドの数値が変化するため、タイミングを見計らわないと無駄なコストを支払うことになります。
両建てした際にスプレッドは発生する?
同じ通貨ペアの買い注文と売り注文を同時に保有することを「両建て」と呼びます。
本来はどちらに値動きが進むか分からないときのリスクマネージメント手法として使われていますが、両建てをした場合はそれぞれの注文に対してスプレッドが掛かってくるため実行する場合には注意が必要です。
また、両建ては解除するタイミングが難しく、初心者の場合だと結局マイナス収支になることも少なくありません。
銭とpipsにはどんな違いがある?
国内証券会社ではスプレッドの表記に「銭」と「pips」の2つを使っています。日本円(JPY)が絡む通貨ペアの場合はスプレッドを「銭」で表し、それ以外の通貨ペアの場合は「pips」で表すというのが国内FXの基本です。
「銭」と「pips」はどちらも同じ桁を表していますが、日本円を軸にするのか他国の通貨を軸にするのかによってその価格が若干変わってきます。
銭 | 「1円の1/100」が1銭=0.01円 |
pips | 「1セントの1/100」が1pips=0.0001米ドル |
「1銭=0.01円」の価値は変わりませんので、スプレッドとして支払うコストも変化することがありません。
ただし、日本円が絡まない通貨ペアの場合はスプレッドが米ドル換算(もしくは他通貨での換算)となるので、そのときの米ドル円レートによって若干価格が変わってくるわけです。
海外FX業者のスプレッドはどう?使ってもいい?
海外FX業者のスプレッドは国内証券会社よりも圧倒的に広い数値となっています。
たとえば国内証券会社の米ドル円スプレッドはだいたい「0.2銭」が基準です。対して海外FX業者の平均値は「1.2~1.3銭」くらいです。(中には1.5銭~2.0銭ほどの業者も存在する)
同じ通貨ペアでも1.0銭以上の差がありますので、長期的に考えるとかなりの差額を支払うことになります。
また、海外FX業者の利用はすべて自己責任です。何かトラブルが起きた場合も自分で対処しなければなりません。
以上の理由から、特に初心者には国内証券会社の利用を推奨しています。
FXのスプレッドを正しく理解してトレードで安定した利益を狙いましょう
FX初心者のためにスプレッドの基礎知識やおすすめの証券会社をご紹介してきました。
ご覧いただいた通り、スプレッドとは取引に掛かってくる手数料のようなものです。ただし、取引手数料とは異なる性質を持っています。
スプレッドに関する条件が良い証券会社ほどトレーダーにとっては有利な環境と言えますので、ぜひ口座を作るときには各社のスプレッド幅をチェックしてみてください。