「FXは24時間取引できる」と言われますがいつでも同じように取引できるわけではありません。この記事では、FXで取引できる具体的な時間をはじめ、FX取引の時間帯による特徴の違いを解説します。
まず、世界の主要なFX市場であるロンドン、ニューヨーク、東京の取引時間帯をご紹介。次に各時間帯の特徴、例えばボラティリティの高さや通貨ペアの動きやすさなどを比較します。また、複数市場の取引時間が重なる時間帯は、値動きが活発になりやすいといった具合です。
最後に、初心者や中級者におすすめの取引時間帯を、それぞれの特性を踏まえてアドバイスします。相場が動きすぎる時間は避けたり、自分のライフスタイルに合う時間を選んだりするのがコツです。
この記事を読めば、FXの取引時間帯の違いを理解し、自分に合ったベストな取引タイミングがわかります。それでは、世界のFXマーケットの時間割を見ていきましょう。
FXの基本的な取引時間
FXは24時間取引が可能ですが、実際には各国の市場が開いている時間に取引が集中します。主要な取引時間は以下の通りです。
- 東京市場(東京時間の午前9時~午後6時)
- ロンドン市場(日本時間の午後4時~深夜1時)
- ニューヨーク市場(日本時間の午後10時~翌朝5時)
特に、ロンドン市場とニューヨーク市場の取引時間が重なる日本時間の午後10時~深夜1時は、取引量が多く値動きも活発になります。この時間帯は、欧米の経済指標の発表が重なることも多いため、チャンスとリスクが同居しています。
一方、週明けの月曜日のアジア時間や、金曜日のニューヨーク市場の終盤は取引が薄くなる傾向にあります。
初心者の方は、取引量が多く値動きが安定している時間帯から取引を開始するのがおすすめです。自分のライフスタイルに合わせて、取引しやすい時間を見つけることが重要ですね。
原則として平日・祝日のほぼ24時間取引が可能
FXは世界中の主要な金融センターで取引が行われているため、月曜日の早朝からニュージーランドのウェリントン市場が開場し、その後シドニー、東京、香港、シンガポール、ロンドン、ニューヨークと順次市場が開場していきます。
最後にニューヨーク市場が閉場するのが土曜日の早朝となるため、月曜日の早朝から土曜日の早朝まで、ほぼ24時間取引が可能となっています。
ただし、一部の祝日やメンテナンス時間を除いては原則として常に取引できる環境が整っています。特にクリスマスやお正月の年末年始は、欧米の主要市場が休場となるため、取引時間が大幅に制限される可能性があります。
このように、FXの取引時間は完全な24時間ではありませんが、株式市場と比べれば格段に自由度が高く、自分のライフスタイルに合わせて取引できるのが大きな利点です。
サマータイム期間中は取引時間が変動する
FX市場は基本的に24時間取引が可能ですが、サマータイム期間中は主要国の夏時間移行に伴い、一時的に取引時間が変動します。
例えば、米国はサマータイム期間中(3月第2日曜日から11月第1日曜日まで)、通常時より1時間早く取引を開始します。ロンドン時間で見ると、ニューヨーク市場のオープン時間が通常の午後1時から正午に前倒しされます。
一方、ヨーロッパはサマータイム期間が米国より遅れるため、一時的にニューヨークとロンドンの重複時間が短縮されます。
このように、主要国の夏時間移行のタイミングが異なるため、サマータイム期間中は取引時間が一時的に変動します。トレーダーは経済指標の発表時間の変更にも注意が必要です。
時差に気を付けながら、重複するマーケットの動きを確認することが重要になります。
FX取引が活発なおすすめの時間帯
- 東京市場:8時~10時
- ロンドン市場:16時~19時
- ニューヨーク市場:22時~翌2時
東京市場:8時~10時
東京市場は、日本の外国為替市場の中心地として知られています。この時間帯は、東京の金融機関や企業が営業を開始する時間と重なるため、日本円を含む通貨ペアの取引が活発になります。
特に日本円と米ドルの通貨ペア(USD/JPY)は人気が高く、アジア時間帯で最も液体度が高くなる傾向にあります。東京市場は比較的変動が小さいものの、日本の経済指標の発表時には値動きが大きくなることがあります。
また、オーストラリアドル/米ドル(AUD/USD)やニュージーランドドル/米ドル(NZD/USD)などの通貨ペアも、この時間帯に取引される機会が多くなります。アジア時間帯でこれらの通貨ペアをトレードすることで、ロンドンやニューヨーク市場が開く前の動きをキャッチできる可能性があります。
ただし、東京市場単独の時間帯は流動性が低めなので、大きなトレンドの転換点を見逃す恐れもあります。そのため、東京とロンドン市場が重なる8時から10時頃がアジア時間帯での取引に適した時間帯と言えるでしょう。
ロンドン市場:16時~19時
ロンドン市場が開場する16時から19時は、FX取引が最も活発になる時間帯の1つです。この時間帯は、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間にあたるため、世界で最も流動性が高くなります。
ロンドンはFX取引の中心地で、全世界のFX取引量の約35%を占めています。一方、ニューヨークは第2の中心地で約16%のシェアを持っています。
この2大市場が重なることで、多くの機関投資家や個人投資家が活発に取引を行うため、需給が一番高まり、価格の変動が大きくなる傾向にあります。
また、この時間帯には主要経済指標の発表も多いため、ニュースに対する価格の反応を狙うトレーダーにとっても魅力的な時間帯です。ただし需給が高まるため、スプレッドが広がることもあり、リスク管理が重要になります。
ニューヨーク市場:22時~翌2時
FXの取引は、基本的に平日の24時間可能ですが、値動きが活発になるのは主要市場が開いている時間帯です。
特に、東京とロンドン市場が重なる日本時間の16時〜19時頃、ロンドンとニューヨーク市場が重なる21時〜24時頃は、取引量が多く値動きが大きくなる傾向があります。
一方、アジア時間の早朝や、ニューヨーク市場のクローズ後は、取引参加者が少なく値動きが小さいため、スプレッドが広がりやすく初心者は避けたほうが良いでしょう。
FXの取引を避けるべき時間帯
- 早朝6時~7時は取引量が少なく値動きが小さい
- 年末年始やクリスマスなどの休日前後
- 重要な経済イベントの直前直後
早朝6時~7時は取引量が少なく値動きが小さい
早朝の6時から7時頃は、東京市場の開場前の時間帯です。この時間は市場参加者が少ないため、取引量が非常に少なくなります。 取引量が少ないと、値動きも小さくなる傾向があります。
また、流動性が低下するため、スプレッド(売値と買値の差)が広がりやすく、他の時間帯と比べてコストがかかりやすくなります。
さらに、この時間帯は前日の取引の影響を受けやすいため、予測不可能な値動きが起こる可能性があります。 そのため、FX初心者の方は取引を避けた方が賢明でしょう。値動きが読みづらく、突発的な変動に対処するのが難しいためです。
つまり、早朝6時から7時頃は取引量が少なく、値動きが小さいものの予測が難しいため、FX初心者にはおすすめできない時間帯と言えます。 代わりに、値動きが活発で取引しやすい時間帯を選ぶことをおすすめします。
年末年始やクリスマスなどの休日前後
年末年始やクリスマスなどの大型休日の前後は、FX取引を避けることをおすすめします。これらの時期は、主要金融機関や投資家が休暇を取るため、マーケットの流動性が低下します。流動性の低下は、以下のようなリスクをもたらします。
- 狭いスプレッドが広がり、取引コストが高くなる
- 需給の偏りから価格の変動が大きくなり、ボラティリティが高まる
- 取引量が少ないため、思わぬ方向に大きく価格が動く可能性がある
- ストップロスが予定通りに約定しない「スリッページ」が起こりやすい
また、休日明けには、重要な経済指標の発表や地政学的リスクなどの重大なニュースが市場を動かす可能性もあります。 流動性が低い状況下では、そうしたニュースに過剰に反応する恐れがあります。
このように、休日前後は通常と異なる環境下で取引を行うことになるため、リスク管理が難しくなります。経験の浅いトレーダーは特に注意が必要です。大型休日の前後は、可能な限り取引を控えることをおすすめします。
重要な経済イベントの直前直後
FX市場は経済指標の発表や中央銀行の政策発表など、重要な経済イベントに大きく反応します。これらのイベントが発表される直前や直後は、市場が大きく動くため、非常にリスクが高くなります。
経済イベントの発表時刻は経済カレンダーで確認できます。発表前は市場参加者がイベントの内容を予測し、価格に織り込もうとするため、需給が一時的に逼迫し、スプレッドが広がる可能性があります。
発表後は、予想と実際の内容に差があれば、その差に応じて為替レートが大きく変動します。この変動は短期的なものが多く、方向性を読み違えると大きな損失を被るリスクがあります。
そのため、経験の浅いトレーダーは、重要な経済イベントの発表時間を避けて取引することをおすすめします。発表から十分な時間が経過し、市場が落ち着いてから取引を再開するのが賢明です。
経済イベントへの対応力が身につくまでは、このようなハイリスクな時間帯は避けた方が無難でしょう。
FX会社ごとの取引時間の違い
FX会社によって取引時間に多少の違いがあります。多くのFX会社では、月曜日の朝7時から土曜日の朝7時まで取引が可能ですが、メンテナンス時間や週末の取引停止時間は会社ごとに異なります。
例えば、XM Tradingではメンテナンス時間が日曜日の朝7時から朝8時までと設定されている一方、外為オンラインでは土曜日の朝6時55分から月曜日の朝7時10分まで取引ができません。
自分に合ったFX会社を選ぶ際は、取引スタイルに合わせて各社の取引時間を確認しておくことが大切です。
サマータイム期間中は要注意
特に注意が必要なのは、サマータイム期間中の取引時間です。
サマータイムとは、夏場の日照時間を有効活用するため、時計の針を1時間進める制度です。欧米諸国では一般的に導入されており、FX取引にも影響を与えます。
サマータイム期間中は、主要市場の取引開始・終了時刻が通常の冬時間より1時間早くなります。例えば、米国市場がサマータイム期間に入ると、ニューヨーク市場のクローズ時間が日本時間で午前5時から午前4時に変更されます。
このように、サマータイム移行に伴い経済指標の発表時間やFX会社のメンテナンス時間なども変動するため、トレーダーは十分な注意が必要です。FX会社によってはサマータイム期間中の取引時間を別途案内しているところもあり、確認を怠らないようにしましょう。
まとめ
FXの取引時間は、世界中の主要な金融市場が開場している間、24時間体制で取引が可能です。ただし、取引活動の程度は時間帯によって大きく異なります。
主な取引セッションは、シドニー(アジア)、東京(アジア)、ロンドン(ヨーロッパ)、ニューヨーク(北米)の4つです。最も活発な取引が見込めるのは、ロンドンとニューヨークの重複時間帯(日本時間の夜〜深夜)です。この時間帯は流動性が高く、より多くの取引機会が期待できます。
一方、マーケットの重複がない単一セッション時間は、相対的に取引活動が低調になる傾向があります。初心者の方は、ロンドン・ニューヨーク重複時間に注目するのがおすすめです。
経験を積んでからマイナー通貨ペアの取引や、他の時間帯での取引に挑戦するのが賢明でしょう。