デイトレードは、その日のうちに新規注文から決済までを終える取引です。日をまたいで保有しないため、取引のコストはほぼスプレッドだけになります。一方で、取引する時間帯によって、同じ社でもスプレッドが十数倍以上変わります。この記事では、国内各社が公表しているスプレッドの適用時間帯をもとに、デイトレードで意識しておく時間とコストを整理します。売買のやり方や勝率は扱いません。
デイトレードとはどんな取引か
デイトレードに法令上の定義はなく、一般に「その日のうちに決済する取引」を指します。保有時間が数秒〜数分のものはスキャルピング、数日〜数週間のものはスイングトレードと呼び分けられることが多く、デイトレードはその間に入ります。
- スワップポイント:各社が決めた時刻をまたいで保有したときに付与・徴収されます。デイトレードでその時刻より前に決済すれば発生しません(時刻は各社の公表ページで確認してください)
- スプレッド:1往復ごとにかかります。回数はスキャルピングより少なく、スイングトレードより多くなります
- 週末・祝日をまたぐ値動き:持ち越さないので、市場が閉まっている間の値動きの影響を受けません
1日・1か月のスプレッドはいくらか
USD/JPY を1万通貨、スプレッド0.2銭(国内8社の掲載値。2026年9月22日取得)で取引した場合の計算です。回数と営業日数は計算のための仮定です。
| 1日の往復回数 | 1日のコスト | 20営業日のコスト |
|---|---|---|
| 1回 | 20円 | 400円 |
| 3回 | 60円 | 1,200円 |
| 5回 | 100円 | 2,000円 |
計算式は「スプレッド(銭)÷ 100 × 数量(通貨)× 回数」です。数量を10万通貨にすると、どの行も10倍になります。
掲載スプレッドが適用される時間帯
多くの社は掲載スプレッドを「原則固定」としていますが、適用する時間帯を決めています。各社の公表ページの記載は次のとおりです(当サイトの確認日は社ごとに2026年8月14日〜9月24日)。
| 社 | 掲載値の適用時間帯(日本時間) | 時間帯の外の USD/JPY |
|---|---|---|
| みんなのFX | 午前8時〜翌午前5時 | 3.9銭 |
| LIGHT FX | 午前8時〜翌午前5時 | 3.9銭 |
| DMM FX | 午前9時〜翌午前5時 | 0.2〜3.9銭(変動制) |
| GMOクリック証券 FXネオ | 午前9時〜翌午前3時 | 3.8銭 |
| 三菱UFJ eスマート証券 FX | 午前9時〜翌午前3時 | 0.2〜8.0銭 |
| JFX | 午前9時〜翌午前3時 | 社の公表ページで確認 |
| ヒロセ通商 LION FX | 午前9時〜翌午前3時 | 社の公表ページで確認 |
| 松井証券 MATSUI FX | 午前9時〜翌午前3時(コアタイム) | 変動 |
JFX とヒロセ通商は、時間帯の外の値を期間を区切って配信しています(当サイトが2026年9月16日に確認した値は9月26日までの配信)。現在の値は各社の公表ページで確認してください。SBI FXトレードは原則固定ではなく月次の実績値を、OANDA証券は時間帯の区切りのない値を公表しています。
朝8時台に注意する理由
上の表のとおり、日本時間の午前8時台は、午前9時から掲載値を適用する社では適用時間帯の外です。東京市場が始まる前後に取引する場合、使っている社の適用時間帯を確かめておくと、意図しないコストを避けられます。同じ1万通貨の1往復でも、0.2銭なら20円、3.9銭なら390円です。
時間帯に関係なくスプレッドが広がる場面
各社は、適用時間帯の中でも次の場面ではスプレッドが広がりうると公表しています。
- 経済指標の発表時(DMM FX・GMOクリック証券・SBI FXトレード・みんなのFX・LIGHT FX・JFX・ヒロセ通商が記載)
- 相場の急変時(天変地異、政変、中央銀行の市場介入など)
- 流動性が下がる時間(週明けの早朝、年末年始、クリスマス時期など)
米国の主な経済指標は、米国東部時間の午前8時30分に発表されるものが多く、日本時間では夏時間の期間が午後9時30分、冬時間の期間が午後10時30分です。発表時刻は各国の統計機関が公表する予定表で確認できます(米国雇用統計は米国労働統計局)。詳しくは米国雇用統計とFXの関係で扱っています。
必要な証拠金の計算
国内のFX業者が個人に提供できるレバレッジは最大25倍で、必要な証拠金は「為替レート × 数量 ÷ 25」で計算します。為替レートを1ドル=150円と仮定すると、次のとおりです。
| 数量 | 取引金額 | 必要証拠金(25倍) |
|---|---|---|
| 1,000通貨 | 150,000円 | 6,000円 |
| 1万通貨 | 1,500,000円 | 60,000円 |
これは取引に最低限必要な額で、口座残高がこれに近いと、少しの値動きでロスカットの水準に届きます。ロスカットの水準は社ごとに違い、詳しくは証拠金の計算方法にまとめています。最小取引単位は、1通貨から(SBI FXトレード・OANDA証券・松井証券)、1,000通貨から(GMOクリック証券・みんなのFX・LIGHT FX・JFX・三菱UFJ eスマート証券・ヒロセ通商)、1万通貨から(DMM FX)と社ごとに違います。
デイトレードで決めておくこと
- 取引する時間帯:使う社の掲載値の適用時間帯と、経済指標の発表時刻を重ねて確認する
- 1日の回数と数量:上の計算式で、月のスプレッドの合計を出しておく
- 決済の時刻:スワップの付与時刻より前に決済するなら、その時刻を確認しておく
- 損失の上限:1回・1日の損失の上限を先に決める。考え方は期待値の計算方法を参照
為替の値動きは予測できるものではなく、どの時間帯・やり方なら利益が出るかを当サイトは示せません。ここで扱ったのは、取引する場合に確実にかかるコストと、各社が公表している条件です。
出典
- 各社のスプレッドと適用時間帯:各社名のリンク先(当サイトの業者ページ)に、取得元の公表ページと取得日を記載しています
- 米国労働統計局(BLS)雇用統計の公表予定
- 金融庁(個人向け店頭FXの証拠金規制。レバレッジ上限25倍)