ボリンジャーバンドは、移動平均を中心に、その上下に標準偏差の倍数でバンドを引いた指標です。考案者のジョン・ボリンジャーが標準として示す設定は20本・2標準偏差です。この記事では、計算式と手で確かめられる計算例、派生する2つの指標(%b とバンド幅)を示し、よく見かける「±2σの中に95%が収まる」という説明の前提が成り立たない理由を説明します。バンドを使った売買のタイミングは扱いません。
計算式
- 中心線 = 直近 n 本の終値の単純移動平均(SMA)
- 標準偏差 = 直近 n 本の終値の、中心線からのばらつき(母標準偏差)
- 上のバンド = 中心線 + k × 標準偏差
- 下のバンド = 中心線 − k × 標準偏差
標準の設定は n = 20、k = 2 です。標準偏差は、n 本のそれぞれと平均との差を2乗して平均し、その平方根を取ったものです。
計算例(5本で簡略化。数字は説明用の例)
手で確かめやすいように、n = 5 で計算します。終値を 150.00、150.40、150.20、150.80、150.60(円)とします。
| 終値 | 平均との差 | 差の2乗 |
|---|---|---|
| 150.00 | −0.40 | 0.16 |
| 150.40 | 0.00 | 0.00 |
| 150.20 | −0.20 | 0.04 |
| 150.80 | +0.40 | 0.16 |
| 150.60 | +0.20 | 0.04 |
- 中心線(平均)= 150.40
- 分散 = 差の2乗の平均 = 0.40 ÷ 5 = 0.08、標準偏差 = √0.08 ≒ 0.283
- 上のバンド(k = 2)= 150.40 + 0.566 ≒ 150.97
- 下のバンド = 150.40 − 0.566 ≒ 149.83
同じ5本の価格でも、ばらつきが大きいほどバンドの幅は広がり、小さいほど狭まります。
%b とバンド幅
ボリンジャーは、バンドから計算する2つの指標も示しています。
- %b =(終値 − 下のバンド)÷(上のバンド − 下のバンド)。終値が下のバンドなら0、上のバンドなら1、中心線なら0.5
- バンド幅 =(上のバンド − 下のバンド)÷ 中心線。ばらつきの大きさを中心線との比で表す
上の例で終値が150.60なら、%b =(150.60 − 149.83)÷(150.97 − 149.83)≒ 0.68、バンド幅 = 1.13 ÷ 150.40 ≒ 0.0075 です。
「±2σに95%」という説明の前提
「価格の約95%は±2σのバンドの中に収まる」という説明を見かけますが、これは値が正規分布に従う場合の性質です。為替の価格やその変化は正規分布に従うとは限らず、またバンドは直近20本だけで計算し直されるため、この割合はそのまま当てはまりません。バンドの外に出た回数を数えるなら、使う期間のデータで実際に数える必要があります。
計算するときに確かめること
- 母標準偏差か標本標準偏差か:割る数を n にするか n − 1 にするかで、バンドの位置が少しずれます。ツールの設定を確認してください
- どの価格で描いたチャートか:買値(Ask)と売値(Bid)ではスプレッドぶん値がずれます
- 足の区切り:日足の区切り時刻は会社や取引ツールで違う場合があります
ほかの指標の計算式はテクニカル指標の計算式一覧にまとめています。指標は過去の価格から計算したもので、将来の値動きを示すものではありません。
出典
- John Bollinger, BollingerBands.com(考案者。標準設定・%b・バンド幅)
- 標準偏差・正規分布:統計の一般的な定義