通貨ペアの相関は、2つの通貨ペアの値動きがどのくらい同じ向きにそろうかを、−1〜+1の数字(相関係数)で表したものです。通貨ペアの中には同じ通貨を含むものがあり、別のペアを持っているつもりでも、同じ通貨に二重に賭けていることがあります。この記事では、相関係数の計算式と計算例、同じ通貨を含むペアの関係、重ねて持ったときの損益とコストを数字で示します。どのペアの組み合わせが有利かは扱いません。
同じ通貨を含む通貨ペアの関係
クロス円の多くは、ドルを介した2つのレートの掛け算で決まります。
EUR/JPY = EUR/USD × USD/JPY
たとえば EUR/USD が1.10、USD/JPY が150.00なら、EUR/JPY は165.00です(数字は説明用の例)。この式から、USD/JPY が上がれば、EUR/USD が変わらない限り EUR/JPY も同じ割合で上がります。USD/JPY と EUR/JPY は、どちらも「円を売る」向きを含むため、同じ向きに動きやすい組み合わせです。
| ポジション | 持っている通貨 | 売っている通貨 |
|---|---|---|
| USD/JPY の買い | 米ドル | 円 |
| EUR/JPY の買い | ユーロ | 円 |
| EUR/USD の買い | ユーロ | 米ドル |
USD/JPY と EUR/JPY を両方買うと、円の売りを2倍持っていることになります。
相関係数の計算式
相関係数(ピアソンの積率相関係数)は次の式で計算します。
r = Σ(x − x の平均)(y − y の平均)÷ √{ Σ(x − x の平均)² × Σ(y − y の平均)² }
x と y には、価格そのものではなく、1日ごとの変化率(リターン)を使います。価格の水準どうしで計算すると、どちらも上がり続けているだけで高い相関が出てしまうためです。
計算例(5日分。数字は説明用の例)
| 日 | ペアAの変化率 | ペアBの変化率 |
|---|---|---|
| 1 | +0.2% | +0.1% |
| 2 | −0.1% | −0.2% |
| 3 | +0.3% | +0.2% |
| 4 | −0.2% | −0.1% |
| 5 | +0.1% | +0.2% |
- 平均:A = 0.06、B = 0.04
- 差の積の合計 = 0.128、A の差の2乗の合計 = 0.172、B の差の2乗の合計 = 0.132
- r = 0.128 ÷ √(0.172 × 0.132) ≒ 0.85
5日分のような少ない数では、偶然で値が大きく変わります。計算する期間(20日、60日、1年など)によって相関係数は変わり、同じ組み合わせでも時期によって変化します。
重ねて持ったときの損益の大きさ
USD/JPY と EUR/JPY をそれぞれ1万通貨買い、どちらも1%下がったとします(数字は説明用の例。USD/JPY 150円、EUR/JPY 165円)。
- USD/JPY:150万円 × 1% = −15,000円
- EUR/JPY:165万円 × 1% = −16,500円
- 合計:−31,500円
相関が高い組み合わせを「分散」のつもりで持つと、1つのペアを2倍の数量で持つのに近い損益になります。必要証拠金もそれぞれにかかります(証拠金の計算方法)。
コストも二重にかかる
- スプレッド:ペアごとにかかります。当サイトが2026年9月22日に取得した掲載値では、国内8社が USD/JPY 0.2銭、EUR/JPY は国内7社が0.4銭でした
- スワップポイント:日をまたぐと、ペアごとに付与・徴収されます。同じ向き(たとえば円を売る向き)なら、受け取りも支払いも2つ分です(FXと金利差の関係)
出典
- 相関係数・クロスレートの式:統計と為替レートの一般的な定義
- スプレッドの掲載値:各社の公表ページ(当サイトが2026年9月22日に取得。データに取得元と原文のハッシュを記載)