テクニカル指標は、過去の価格から決まった式で計算した数字です。同じ名前の指標でも、期間や平均の取り方が違えば値は変わります。この記事では、FXでよく使われる5つの指標について、考案者による定義と計算式、手で確かめられる計算例をまとめます。指標を使えば勝てるかどうかや、売買のタイミングは扱いません。よく使われる設定の比較はテクニカル指標の記事を参照してください。
移動平均(SMA・EMA)
単純移動平均(SMA)は、直近 n 本の終値の平均です。
SMA =(直近 n 本の終値の合計)÷ n
指数平滑移動平均(EMA)は、新しい値ほど重く扱う平均です。
EMA(今日)= α × 終値(今日)+(1 − α)× EMA(前日)、α = 2 ÷(n + 1)
計算例(5本、数字は説明用の例)
終値を 150.00、150.40、150.20、150.80、150.60(円)とすると、5本の SMA は (150.00 + 150.40 + 150.20 + 150.80 + 150.60) ÷ 5 = 150.40 です。翌日の終値が151.00なら、5本 EMA の α は 2 ÷ 6 ≒ 0.333 で、前日の EMA を150.40とすると、0.333 × 151.00 + 0.667 × 150.40 ≒ 150.60 になります。
RSI(相対力指数)
J・ウェルズ・ワイルダー・ジュニアが1978年の著書『New Concepts in Technical Trading Systems』で示した指標です。考案時の期間は14です。
RS = 平均上昇幅 ÷ 平均下落幅、RSI = 100 − 100 ÷(1 + RS)
平均上昇幅・平均下落幅は、ワイルダーの方法では前回の平均を使って平滑化します(平均 =(前回の平均 ×(n − 1)+ 今回の値)÷ n)。単純平均で計算するツールもあり、同じ期間でも値がずれることがあります。
計算例
14本の平均上昇幅が0.30円、平均下落幅が0.20円なら、RS = 1.5、RSI = 100 − 100 ÷ 2.5 = 60 です。RSI は0〜100の範囲に収まります。
MACD
ジェラルド・アペルが1970年代に考案した指標で、2本の EMA の差を使います。広く使われる期間は12・26・9です。
- MACD = EMA(12)− EMA(26)
- シグナル = MACD の EMA(9)
- ヒストグラム = MACD − シグナル
EMA(12)が150.80円、EMA(26)が150.50円なら、MACD は0.30です。通貨ペアによって価格の水準が違うため、MACD の値の大きさを通貨ペアの間でそのまま比べることはできません。
ボリンジャーバンド
ジョン・ボリンジャーが1980年代に考案した指標です。中心線は移動平均、上下のバンドは標準偏差の倍数で引きます。考案者が標準として示す設定は20本・2標準偏差です。
- 中心線 = SMA(20)
- 上のバンド = 中心線 + 2 × 標準偏差(20本)
- 下のバンド = 中心線 − 2 × 標準偏差(20本)
考え方と計算例はボリンジャーバンドの計算と使い方にまとめています。
ストキャスティクス
ジョージ・レーンが考案した指標で、一定期間の高値・安値の範囲の中で、終値がどこにあるかを0〜100で示します。
- %K =(終値 − n 本の最安値)÷(n 本の最高値 − n 本の最安値)× 100
- %D = %K の3本平均
- スロー・ストキャスティクスでは、%D をスロー%K とし、その3本平均をスロー%D とする
計算例はストキャスティクスの計算と使い方にあります。
計算するときに確かめること
- 期間と平均の取り方:同じ「RSI(14)」でも、平滑化の方法でツールごとに値が違うことがあります
- 足の区切り:日足の区切り時刻は会社や取引ツールで違う場合があり、同じ日付でも終値が違うことがあります
- 価格の種類:買値(Ask)と売値(Bid)のどちらで描いたチャートかで、値がスプレッドぶんずれます
指標はどれも過去の価格から計算したもので、将来の値動きを示すものではありません。
出典
- J. Welles Wilder Jr., New Concepts in Technical Trading Systems(1978年。RSI)
- Gerald Appel(MACD の考案者)
- John Bollinger, BollingerBands.com(ボリンジャーバンドの考案者)
- George Lane(ストキャスティクスの考案者)