ストキャスティクスは、一定期間の高値と安値の範囲の中で、終値がどの位置にあるかを0〜100で示す指標です。ジョージ・レーンが考案しました。この記事では、%K・%D とスロー・ストキャスティクスの計算式を示し、5本の価格で実際に計算してみせます。「80以上で買われすぎ」といった目安が何を意味し、何を意味しないかも説明します。売買のタイミングは扱いません。
計算式
- %K =(終値 − n 本の最安値)÷(n 本の最高値 − n 本の最安値)× 100
- %D = %K の m 本の単純平均(m は3が一般的)
n は14や9がよく使われます。%K は、終値が期間の最安値と同じなら0、最高値と同じなら100です。
ファストとスロー
- ファスト・ストキャスティクス:上の %K と %D をそのまま使う
- スロー・ストキャスティクス:ファストの %D を「スロー%K」とし、その3本平均を「スロー%D」とする
スローは平均を1回多く取るぶん、線の動きがなめらかになり、価格の変化に遅れて反応します。
計算例(n = 5。数字は説明用の例)
| 本 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|
| 1 | 150.50 | 149.90 | 150.20 |
| 2 | 150.70 | 150.10 | 150.60 |
| 3 | 150.90 | 150.30 | 150.40 |
| 4 | 151.10 | 150.40 | 151.00 |
| 5 | 151.20 | 150.70 | 150.80 |
- 5本の最高値 = 151.20、最安値 = 149.90、範囲 = 1.30
- 5本目の %K =(150.80 − 149.90)÷ 1.30 × 100 ≒ 69.2
%D はこの %K を3本分ためてから平均します。たとえば3本の %K が 61.5、76.9、69.2 なら、%D =(61.5 + 76.9 + 69.2)÷ 3 ≒ 69.2 です。
「80以上・20以下」という目安
%K や %D が80以上の状態を「買われすぎ」、20以下を「売られすぎ」と呼ぶ説明がよくあります。式から分かるのは、80以上とは「終値が直近 n 本の範囲の上から2割以内にある」ということだけです。価格が上がり続けている間は、%K は80以上に張り付いたままになり、そこから下がるとは限りません。どの水準を目安にするかに決まった根拠はなく、数字の意味は上の式の範囲のものです。
計算するときに確かめること
- n と m の値:取引ツールの初期設定は(14, 3)や(9, 3)など会社によって違います
- ファストかスローか:同じ「%D」でも、ファストの %D とスローの %D は別の線です
- 範囲が0のとき:n 本の高値と安値が同じなら分母が0になり、%K は計算できません。ツールによって扱いが違います
- どの価格のチャートか:買値と売値では高値・安値・終値がスプレッドぶんずれます
ほかの指標の計算式はテクニカル指標の計算式一覧にまとめています。指標は過去の価格から計算したもので、将来の値動きを示すものではありません。
出典
- George Lane(ストキャスティクスの考案者)
- 計算式:考案者による %K・%D の定義